今回紹介するのは、国際サッカー連盟(FIFA)の公式ホームページが2017年8月30日に配信した、シリア代表に復帰したオマル・スーマ選手に関するものです(السومة يطمح لعودة تاريخية – FIFA.com)。
同じ記事は、FIFAホームページの英語版(Returning Al Somah boosts Syrian hopes – FIFA.com)にも載っていますので、そちらをご覧になる方が、ぼくのあやしげな日本語よりもわかりやすいかもしれません(本当のところ、今回の記事のアラビア語はややこしい表現が多いです)。
国際サッカー連盟が、スーマ選手の復帰をどう報じているのか興味深かったのですが、彼が長く代表を離れていたこと、今回復帰に至った事情などについて、具体的な記述は一切ありませんでした。
競技への政治介入を嫌うFIFAとしては、それもやむを得ないかなという気もします。ですが、それではスーマ選手の復帰の意味がまったくわからなくなってしまうのではないか。肩すかし記事ですが、せっかく読んだので、投稿します。
ワールドカップ予選、いよいよ大詰めですね。本日(2017年8月31日)、日本は出場権をかけてオーストラリアとの大一番です。シリアも同日、マレーシアでカタールと対戦します。残り2試合で2位以内に入るのは厳しい状況ですが、3位にすべりこみプレーオフに進出できる可能性はまだ十分残っています。こちらも大一番です。
■アジア最終予選グルーブA順位表(2017年8月30日現在)
チーム | 勝点 | 得失差 |
イラン | 20 | 8 |
韓国 | 13 | 1 |
ウズベキスタン | 12 | 0 |
シリア | 9 | -1 |
カタール | 7 | -4 |
中国 | 6 | -4 |
スーマの歴史的復帰でシリアを押し上げる
掲載紙:FIFA.comアラビア語版
掲載日:2017年8月30日
(*は訳注です)
シリア代表をフォローしている人たちの中の最も楽観的な人でさえ、シリアが、ロシア・ワールドカップ2018のアジア3次(最終)予選まで進出することを予想だにしなかった。シリアはまだ世界の祭典に出場するという歴史的チャンスを保持し続けている。
シリア代表「カシオンの鷲」(✴︎シリア代表の愛称。カシオンは首都ダマスカスにある山の名前。シリア人にとっては象徴的な存在)はすべての人びとを驚かせた。とくに、シリアが、2011年に始まり、今なお継続している猛烈な戦争の渦中にあるという状況の中、さらには、シリア代表が、2010年12月22日にイラクとの親善試合を行って以来、いかなる国際試合もホームで、そしてサポーターたちの前で試合を開催することが禁じられている状況を考えればなおさらである。
「大佐」の愛称を持つオマル・スーマの代表への合流は、チームの攻撃力の大幅アップをもたらすことになるだろう。現在シリア代表は、勝点9でグルーブAの4位につけ、ワールドカップにダイレクトで出場できる2位との勝ち点差は4。残り2試合で、カタール、イランと対戦する予定である。
スーマの代表復帰は、現在マレーシアで合宿中のチームメートから大きな歓迎を受けたようだ。マレーシアでは、史上初のワールドカップ出場を夢見るシリアにとっては決定的に重要なカタール戦が行われることになっている。
シリア代表のアイマン・ハキーム監督は、(✴︎2017年8月26日にマレーシアで行われたイラクとの)親善試合のあと、スーマの代表復帰について喜びを表明し、こう述べている。
「選手のコンディション、そして、チームに合流したばかりのスーマと他の選手との連携について見きわめる上で、今日の試合は有益だった」
スーマは、アジアの最も優れたFWの一人として地位を確立している。アル=アハリーに所属しサウジアラビア・リーグで最近3年間で連続して得点王を獲得、また2017年のアジア・チャンピオンズリーグでも、先週行われたイランのペルセポリス戦でのゴールをはじめ、これまで5得点を記録している。
スーマのアジアでの経験は、シリア代表にとって大きな戦力アップになるとみられている。また、チームには最近になって、先日の1対1の引き分けに終わったイラクとの親善試合でゴールを決めたフィラース・ハティーブをはじめ、数人の経験豊かな選手が復帰してきている。
スーマは、アル=アハリーの一員として、サウジリーグやアジア・チャンピオンズリーグで成し遂げた成功を、代表チームでも再現したいと熱望していることだろう。次の彼のゴールは、ワールドカップ予選で記録するものであり、それは「カシオンの鷲」を史上初めてワールドカップに導くものとなるだろう。
オマル・スーマ:
年齢 28歳
身長 192センチ
現所属クラブ アル=アハリー(サウジアラビア)
代表デビュー 2012年10月11日
出場試合数 5試合