W杯アジア予選 シリアがプレーオフ進出

 

今回紹介するのは、ワールドカップアジア最終予選イラン対シリア戦直後のシリアチームの様子に関するもの。レバノンのテレビ局「アルジャディード」が、2017年9月6日に配信した記事です(الموقع الرسمي لقناة الجديد, كرة القدم, سوريا: الأمل يهزم الصعوبات)。

試合結果は、ご存じの通り、タイムアップ寸前、予選敗退濃厚だったシリアがオマル・スーマ選手の劇的ゴールで、2対2の引き分けに持ち込みました。

シリアは、前半早々にターミル・ハジ・ムハンマド選手が先制点をあげ、出場権獲得に大きく前進したかに見えましたが、その後イランの若きエース、サルダル・アズムン選手の2得点で逆転されました。リードしていた前半の数十分間が、シリアがその歴史上、最もワールドカップに近づいた瞬間でした。

これで、グループAでは、イランと韓国が予選を突破、3位にすべりこんだシリアが、オーストラリアとのアジア・プレーオフにのぞむことになります。

惜しくもストレートでの出場権獲得を逃したことで、シリア国内はさぞ消沈しているのかと思いましたが、今回紹介する記事でもそうですし、ネット上でもプレーオフに進出できたことを歓喜する声であふれています。

なにより、敗退濃厚だったチームを、長く代表を離れ、みんなが待ち焦がれていたスーマ選手の鮮やかなシュートが救ったことが、人びとの喜びを増幅させているように感じます。

現時点で、アジア最強と思われる、最終予選無失点できていたイランに2得点を挙げて引き分けに持ち込んだシリアの実力は(しかもテヘランで)、本物だと思います。先月の日本戦で見せたオーストラリアのパフォーマンスを見ると、シリアが勝つ可能性は十分あるのではないでしょうか。

まだしばらくは、シリア国民とともに、「カシオンの鷲」(シリア代表の愛称)の冒険譚をたのしむことができるようです。

アジア最終予選グルーブA最終順位表

チーム 勝点 得失差
イラン 22
韓国 15
シリア 13
ウズベキスタン 13 −1
中国 12 −2
カタール −7

 


元記事URL http://aljadeed.tv/arabic/sports/soccer/060920174

希望が苦難を打ち破る シリア

掲載紙:アルジャディード
掲載日:2017年9月6日

(文中*は訳注 小見出しは翻訳者がつけた)

(http://aljadeed.tv/arabic/sports/soccer/060920174より)

シリアは希望を失っていない

シリア代表のマールディーク・マルディキヤーンが泣いていた。そしてこう言った。イラン戦で、2対2の引き分けに持ち込むゴールが決まり、初めてのワールドカップ出場の夢が潰えることから免れた。この国は望みをつなぎとめることができたんだ。

昨日火曜日(*2017年9月5日)、試合はイランが2対1でリードしたまま90分が経過していた(イランはすでにワールドカップ出場を決めており、最終予選9試合で一度も自陣ゴールを揺らすことがなかった(*無失点だったという意味))。もしアディショナルタイムでもこのまま終われば、シリアはグループAの4位になるところだった。

だが、サウジアラビア・リーグで3シーズンの間得点王を獲得し続けているオマル・スーマが、GKの股の間を狙ったシュートを決めた。彼自身の代表初ゴールであり、祖国に貴重な勝ち点1をもたらした。これでシリアは勝ち点13、同勝ち点のウズベキスタンを得失点差で上回り3位となった。ウズベキスタンは出場権獲得の望みがなくなった。

韓国は2位となり、イランとともにワールドカップ出場を決めた。一方、シリアは、グループBの3位オーストラリアとアジア・プレーオフで対戦することになった。さらに、北中米カリブ海サッカー連盟(CONCAF)予選の4位チームとの大陸間プレーオフをたたかい、その勝者が来年ロシアでの大会の切符を手にすることになる。

マルディキヤーンはテレビ局「beIN SPORTS」(*カタールのスポーツ専門局)のインタビューに、「勝ち点を上積みできて本当によかった。プレーオフに進出することは、ぼくらにとって大きな達成です。そして、シリアのため、シリアの国民のため、そして世界の子どもたちのために、心をひとつにしてたたかいます」と話し、こう続けた。

「とにかく、これらはみんな、女性サポーターを含め国民のみんなが祈ってくれたおかげです。これが最も重要なことです。そして、今からプレーオフ、その次のラウンドに気持ちを切り替えます。なんとしても、シリアのために、ことを成し遂げるつもりです」

さらに、一瞬感きわまった様子で言った。「とにかくシリアは、希望を失ってしまったわけではないのです」

お祭り騒ぎは今日で終わり

6年前にはじまった紛争を理由に、ホームゲームをすべて国外で開催しなければならないことなど、この国の困難な状況を考えれば、もし希望への強い思いがなければ、躍進とみなされる結果をつかみとることはなかったであろう。

最終予選前半のシリアの戦績は、楽観視できる状況ではなかった。初戦のウズベキスタンに敗れ、次のマレーシアで行われた韓国とは引き分けた。予選前半だけでは勝ち点5しか獲得できなかったのである。

シリア代表のアイマン・ハキーム監督は、「われわれはグループの2位に入る決意でのぞみました。しかし結果はご覧の通りです。それでもわれわれはアジアの最強豪国と対戦して、これまで無失点だった相手からゴールを奪ったのです。これは誇るべきことです」(*この段落、当初投稿していた内容から大幅に修正しました)と話し、こう付け加えた。

「イランとの試合は決勝戦のようなものでした。われわれは、われわれのチームが、いかに困難な環境におかれても、決して屈しないことを証明してみせました。選手一人ひとりに感謝します」

さらに続けて、「こんな状況にもかかわらず、われわれはプレーオフに進出することができたのです。できるなら、ワールドカップの出場権を獲得して、シリア国民を幸せにしたいと思っています」と話した。

今日から、シリアの選手たちは、お祭り騒ぎを急ぎおしまいにし、強敵オーストラリアとの対戦に頭を切り替える必要があるだろう。オーストラリアは昨日火曜日、サウジアラビアが日本を1対0でからくも破り得失点差でグループ2位になったため、ストレートでの出場権獲得を逃している。

来月ホームアンドアウェー方式で行われるオーストラリア戦に向けて、スーマはこう話した。

「今から再びアジアの予選が始まるつもりで、われわれは準備していくつもりです」

また、シリアサッカー連盟副会長で、代表チーム責任者のファーディー・ダッバースもこう付け加えた。

「われわれは、プレーオフで起こりうるどんな問題にも必ずうまく対処していきます。…選手たち、チームスタッフ、チームを応援するため、テヘランまでやって来てくれたすべてのサポーターに感謝をささげます」

 

Share