西岸地区の入植地チームの活動は合法なのか

今回紹介するのは、パレスチナ自治区内に建設されたイスラエル入植地を拠点に活動しているクラブチームの処遇をめぐる記事。ロイターが配信し、アラブ最大のスポーツサイトと言われる「クーーーラ」が、2017年10月27日に掲載したالفيفا يرفض التدخل في الصراع بين فلسطين والكيان الصهيونيです。


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国連安全保障理事会が2016年末に採択した決議にある通り、イスラエルがパレスチナ占領地で進めている入植地建設は、国際法では違法とされています(国連安保理、イスラエル入植地非難決議を採択 米国棄権 – BBCニュース)。

イスラエル側はこの決議に反発し、現在も入植政策を継続しています。入植地の中ではサッカーチームも結成されており、イスラエル国内リーグにも参戦しているそうです。

これに対し、パレスチナサッカー連盟は、入植地の6チームの活動を停止するようFIFAに訴えていましたが、先月(2017年10月)末、この問題でFIFAが対応を決めました。要するに、これは国際政治に関わるややこしい問題なので、FIFAとしては、介入することを控えます、というもの。介入しないと言いながら、入植地クラブの活動は認めるわけですから、イスラエル寄りの対応といえるでしょう(FIFAの声明全文・英語です:FIFA Council statement on the final report by the FIFA Monitoring Committee Israel-Palestine – FIFA.com)。

当然パレスチナ側は怒っているわけで、スポーツ仲裁裁判所に訴えると言っています。パレスチナ側の言い分については、次回投稿で紹介したいと思います。

パレスチナサッカー連盟は、2017年6月にも同じ問題でスポーツ仲裁裁判所に提訴し、訴えが受理されていますが(パレスチナ・サッカー協会がCASに提訴 係争地での運営権を巡り – サッカー – SANSPO.COM(サンスポ))、この訴えの結果について、あるいは今回のFIFAの対応との関係について、どうなっているのかよくわかりません。

なお、今回の記事(原文)では、「イスラエル」のことをすべて「シオニスト主体」(もっと適当な日本語あるのかも)と表記されていますが、日本ではかなり奇異な印象を受けると思われますので、単に「イスラエル」と表記しました。


元記事URL http://www.kooora.com/?n=636229

FIFA パレスチナ・イスラエル間の争いへの介入を拒否

掲載紙:クーーーラ/ロイター
掲載日:2017年10月27日

(文中の*は訳注)

 

国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長は今日(*2017年10月27日)、FIFAとして、イスラエルとパレスチナ間の争いに介入することは決してないと述べ、この問題での議論の幕引きを行った。

争いは、イスラエルの下部リーグの所属する6クラブに関するもので、これらのクラブは拠点をヨルダン川西岸地の区の入植地内に置き、そこで試合を行っている。

パレスチナサッカー連盟によると、クラブは、その地域の連盟の許可なしに試合を開催してはならない、というFIFAの規則に違反していると言う。

国際法では、西岸地区の入植地は違法とされているが、イスラエル側はこれに反発している。

また、パレスチナサッカー連盟は、西岸地区とガザ地区間の選手の活動や移動や、自治区外への遠征に対し、イスラエルが制限を加えていることにも不満を唱えている。

イスラエル側は、安全上の問題でいくつかの移動を制限していると釈明している。また、イスラエルサッカー連盟(ヨーロッパサッカー連盟に加盟)は、イスラエルの治安保持に関わるこういった問題に対処する権限を、連盟は有していない、と述べている。

パレスチナサッカー連盟は、2015年のFIFA総会で、イスラエルサッカー連盟の国際的な資格停止を要求した。しかし、FIFAが、南アフリカの政治家トーキョー・セックスウェールをリーダーとする「イスラエル・パレスチナ間モニタリング委員会」を立ち上げたことを受け、この要求を撤回した、という経緯がある。

インファンティーノ会長は、モニタリング委員会開催後の記者会見でこう話した。「FIFAは、イスラエル、パレスチナ両連盟に対し、いかなる制裁、あるいはその他の措置を取らないことを決定しました。この地域は、国際法においても不安材料を生み出しています。FIFAがこれについて中立の立場を維持するのは当然のことです」

また、FIFAは声明の中でこう付け加えている。「国際法規の枠組みが変わらない限り、FIFAとしては、この先、この問題で議論することはない」

また、声明は、事態は前例のない形で複雑化しており、FIFAのいかなる介入も、この地域のサッカー環境に深刻な影響をもたらすことになる、としている。なお、声明は、この危機を招いているイスラエルの6クラブについては、言及していない。

FIFAは、パレスチナ自治区間の選手やレフェリー、サッカー関係者の活動が円滑に行えるよう取り組みを続けていく、と言っている。

フリーライター/書籍編集者。アラビア語学習者。サンフレチェ広島とザンクト・パウリ(ドイツ)を愛す。シリアに平和が戻れば、アル=ジハードというちいさなクラブを追っかける旅をしてみたいと思っている。趣味はシーカヤック。京都市在住。
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