入植地クラブ問題 イスラエルがFIFAに圧力?

前回に続き、イスラエルが違法に建設している入植地内のクラブチームに関する記事です。今回は、FIFA決定に反発するパレスチナ側の意見を紹介したالرجوب: قرار الفيفا حول «أندية المستوطنات» مخالف للقوانين الرياضية الدولية حركة فتح: القرار انتهاك خطير وكان على الفيفا أن تبقى على الحياد لا أن تقف مع الاحتلال | القدس العربي Alquds Newspaper。ロンドンで発行されているアラビア語有力紙の一つと言われる「アル=クドゥス・アル=アラビー」に2017年10月30日に掲載されたものです。


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(写真はパレスチナサッカー連盟会長のジブリール・ラジューブ氏)

パレスチサッカー連盟の訴えでFIFAが審議していた、西岸地区の入植しないで活動しているイスラエルのクラブチームをFIFAとしてどう対処するかという問題。

入植地建設自体、国際法的には違法とされていますので、当然そこに本拠を持つクラブチームの活動にも、なんらかの制裁が課せられるべきものだと思います。ところがFIFAが出した結論は、この問題はややこしいのでFIFAとしては立ち入らないというもの。しかも今後この問題での議論はしないというものでした。

パレスチナサッカー連盟はこれを不服として、スポーツ仲裁裁判所へに問題を持ち込むことを検討しているとのことです。また、パレスチナ側は、FIFAの決定は、イスラエルが圧力をかけた結果だと主張しています。

FIFAの声明全文(英語です):
FIFA Council statement on the final report by the FIFA Monitoring Committee Israel-Palestine – FIFA.com

イスラエルの入植政策を批判する国連安保理決議2334号関連記事:
国連安保理、イスラエル入植地非難決議を採択 米国棄権 – BBCニュース


元記事URL http://www.alquds.co.uk/?p=817070

入植地クラブ問題 FIFAの決定は国際的なスポーツのルールに矛盾する

掲載紙:アル=クドゥス・アル=アラビー
掲載日:2017年10月30日

(小見出しは訳者による 文中の*は訳注)

 

ラマラ《アル=クドゥス・アル=アラビー》:パレスチナサッカー連盟のジブリール・ラジューブ会長とファタハはそれぞれ、入植地で活動するクラブに関する国際サッカー連盟(FIFA)の決定を非難した。

入植地建設は違法だったはずが…

ラジューブ会長は、ラマラにあるパレスチナサッカー連盟本部で開いた記者会見で、「入植地クラブ問題でのFIFAの最終決定は、FIFA自身のルールや国際法に矛盾するものだ」と述べた。

FIFAは、ヨルダン川西岸地区の入植地で結成されているイスラエル・クラブの活動停止を求めるパレスチナサッカー協会からの訴えを退ける決定を行っている。また、FIFAはこの問題では中立の立場を維持することを表明している。

ラジューブ会長は、「われわれは今日、これまでのFIFAの規定や勧告などとはまったく相入れない決定を受け取った。国連事務総長補佐がFIFAに宛てたメッセージでは、入植地でのスポーツ活動は、国連決議や人権の原理、FIFAの規定からも逸脱するものだとしている」と述べた。

また、パレスチナサッカー連盟は、スポーツ仲裁裁判所(CAS)への提訴も検討していることを明らかにした。

ただし、ラジューブ会長はFIFAの決定を非難する一方、今回の決定には肯定的な側面も強調している。つまり、決定が、西岸に建設されたイスラエル入植地を占領地域と規定した国連安保理決議2334号を認めている点だ。また、今回のFIFAの決定では、競技の発展のために、選手、チーム、関係者の移動の自由についても言及している。

イスラエルの侵犯行為に対する監視のための国際委員会(*「イスラエル・パレスチナ間モニタリング委員会」のこと。パレスチナ側の訴えを受け入植地クラブ問題を審議するためにFIFA内に設置された)は、勧告をFIFAに提出している。勧告の中で、委員会は、パレスチナでのスポーツ環境改善のために、イスラエルに対し1枚目のイエローカードを出すことになろう、と述べている。

だが、委員会勧告は、入植地クラブの活動停止については、FIFAでのイスラエルの資格停止措置や、問題解決のために両者を協議の場につかせる対応もしないと述べている。あたかも問題は存在しないかのように、現状を追認したものだ。

ネタニヤフ首相の介入?

さらに、ラジューブ少将は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長とはこの問題で電話会談を行っていた事実も明らかにした。

電話会談の中で、ネタニヤフ首相はあらかじめ(*「イスラエル・パレスチナ間モニタリング委員会」の審議が始まる前という意味だと思います)、入植地の6チームに対し制裁を課すことを検討するのはやめるよう要求している。このことが、ラジューブ会長が「陽気な男」と評するFIFA会長の決定に影響を与えたとみられる。

ラジューブ会長は、パレスチの権利が、イスラエルによって侵害され続けていることをこう強調して、会見をしめくくった。パレスチナでは、選手やコーチ、チームの移動の制限されている中で多くの大会が開催されている。また、この問題でFIFAの指示があるにもかかわらず、最近行われたパレスチナカップでは、西岸地区に入ろうとしたガザ地区チームの9選手の移動が禁じられ、プレーすることができなかった、という。

「最大のスキャンダル」ファタハの批判

一方、ファタハは、FIFAのイスラエル・パレスチナ間モニタリング委員会の決定について言及した声明の中でこう述べている。

入植地のクラブに関して、「FIFAの委員会決定の文面すべてにおいて、大きな間違いを犯しており、国際法にも違反している」

また、声明ではこう指摘している。

「委員会決定は、イスラエルが入植した土地でのサッカー活動が違法であるという、この問題の本質についての認識を欠いたものだ。委員会は法律的にも論理的にも受け入れがたい記述と結論付けを行っている。実際のところ、今回の決定は、FIFAにとって新たに生み出された最大のスキャンダルである。これは数か月前に発表された汚職問題でのスキャンダルに匹敵するものだ。数か月前に、この問題をめぐって明からさまで直接的な政治介入を行ってきたイスラエル首相に対して、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長がとった対応を見ると、委員会決定はこのことと関係している可能性がないとは言えない」

声明は、国際法の効力や、FIFAの決定に反対する各国の連盟や多くの人びとによって、今回の重大な決定と最大のスキャンダルが正されていくだろうと、確信をもって明言すると、述べている。

フリーライター/書籍編集者。アラビア語学習者。サンフレチェ広島とザンクト・パウリ(ドイツ)を愛す。シリアに平和が戻れば、アル=ジハードというちいさなクラブを追っかける旅をしてみたいと思っている。趣味はシーカヤック。京都市在住。

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