シリア代表監督退陣をめぐる迷走

シリア代表

ワールドカップ予選でアジアプレーオフまで進出し、2017年9月にテヘランで行われたイラン戦(2対2の引き分け)が、FIFAから全予選の中でベストマッチの一つに選ばれるなど、内外から称賛を浴びたシリア代表。ところが予選が終わった途端、サッカー連盟内部の不団結というか計画性のなさが表面化しています。

連盟では、代表監督を外国人指導者に任せようとしているのですが、その選定をめぐって、連盟会長と副会長とが、互いに自らの意向を通そうとしてもめているようで、いまだ決まっていません。

気になって、アジア3次予選からオーストラリアとのアジアプレーオフまで指揮をとったアイマン・ハキーム監督が辞める際、どういう状況だったのだろうと思い、ざっと調べてみました。これがまたひどいことになっていました。

予選敗退後、実はサッカー連盟は、ハキーム監督との契約を、2019年のアジアカップまでに更新していたのです。ところが2017年11月、どうもはっきりしない理由で、ラマダーン会長が突如、「ハキームではだめだ。解任して、今度は世界で戦える実績のある外国人監督と契約することにした」と発表しました。

これに対し、サッカー連盟の国内での上部機関であるシリアスポーツ連盟のジュムア会長が、「俺はハキームの辞任させるのを認めない。だいたいそんな監督を雇うだけの金がどこにあるんだ」と拒絶。さらには、一部の関係者は、サッカー連盟に対して政治的介入が行われているとして、FIFAに対し、連盟の活動を凍結するよう訴え出ようとする動きも起こっていたようです。

結局その後、ハキーム氏は辞表を提出し、現在は外国人指導者さがしが行われていますが、前述の通り、組織内部のゴタゴタによりうまく進んでいないようです。

今回紹介するのは、ハキーム監督辞任をめぐる騒動について、目についたいくつかの記事です。シリア代表の監督人事なんて、細かなところまで関心を持つ人なんていないでしょうから、記事の要点だけ紹介することにしました。

確かにハキーム監督のチームは、ワールドカップ予選の試合を見ていても、戦術と呼べるものが感じられず、スーマ選手やフリービーン選手といった才能豊かな選手たちの個の力でたたかうといった感じでした。選手たちのポテンシャルを考えれば、指導者の手腕によってはチームはさらに強くなるのではないかという見方は十分理解できます。

ただし、たとえそうだとしても、シリアをワールドカップまであと一歩のところまで導いた監督に対する扱いとしては、非常に敬意を欠いたものだと思います。
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元記事URL https://arabia.eurosport.com/article/5218666-استقالة-أيمن-الحكيم-مدرب-منتخب-سوريا

ハキーム氏 シリア代表監督を辞任

掲載紙:ユーロスポーツ・アラビア語版
掲載日:2017年11月16日

 

シリア代表を2018年ロシアワールドカップ予選のアジアプレーオフに導いた、アイマン・ハキーム氏は2017年11月16日、辞表を提出した。シリアサッカー連盟のサラーフ・ラマダーン会長が、同監督の手腕に満足していないことを表明した翌日のことだった。

シリアサッカー連盟は、すぐには辞職を受け入れていない。複数の関係者によると、この件については、近く開催予定の会議で扱いを決めることになるという。

連盟を通じて配布された声明でハキーム氏は、「わたしは在任期間、アラブとアジアでチームとともに達成したことに誇りを持っています。わたしは困難な状況の中、人びとに喜びをもたらすために懸命に頑張っているシリアの偉大な国民のために成し遂げたことに満足しています」と述べ、こう続けている。

「わたしの行動、とくに誇りを持って務めてきた監督の職を辞することに関しては、わたしは誰からの指示も受けていないことを強調しておきます。最近、サラーフ・ラマダーン会長は声明の中で、わたしの手腕について、そして外国人監督と契約する意向について発言をしていますが、わたしは、チームの成功を願って、代表チーム委員会のファーディ・ダッバース代表に辞表を提出することにいたしました」

サッカー連盟のファーディ・ダッバース副会長がAFPに明らかにしたところによると、ハキーム氏の辞任については、「連盟の次回の会合で議論され、シリアサッカーの利益にかなうよう適切に判断することになる」とのことだ。

会合は来週開催されるとみられているが、日時については公式にはまだ決まっていない。

ハキーム氏が辞任を表明したのは、シリアサッカー連盟会長が報道向けの声明を発表した翌日のことだった。声明の中で会長は、「ハキーム監督の手腕には満足していない」とし、代わりに外国人監督と契約するのでハキーム氏に辞表を提出するよう求めた。

ハキーム氏はこれまで2度シリア代表監督の職についている。1度目は、2011年に数か月というごく短い期間。2度目は、2016年夏で、ワールドカップのアジア3次予選でチームを率いた。

ハキーム氏はW杯予選で過去最高の成績を挙げた。3次予選のグループAを3位で終え、オーストラリアとのアジアプレーオフに進んだ。マレーシアでのプレーオフの初戦は1対1の引き分け、シドニーでの2戦目は延長の末1対2で敗れている。


元記事URL http://www.kooora.com/?n=642662

ハキーム辞任 3つの理由

掲載紙:KOOORA
掲載日:2017年11月16日

 

イラクとの親善試合の直後からわき起こった、ハキーム氏の辞任を要求する声に、シリアサッカー連盟は、すぐさま対処した。

シリアサッカー連盟は、すでにハキーム氏と彼のチームスタッフとの契約の更新をしており、契約期間は2019年にUAEで開催されるアジアカップ終了までとなっていた。

ところが、シリアサッカー連盟のサラーフ・ラマダーン会長は、代表監督としてのハキーム氏の手腕に満足していないことを強調、チームを表彰台に導くだけの十分な経験のある外国人監督と契約することを表明したのだ。

ハキーム氏と代表チームとの間に溝を生んだ3つの理由について振り返ってみる。

分裂と嵐

ワールドカップ予選終了後、シリアのファンたちの意見は、ハキーム留任支持派と解任要求派とに二分されていた。ところが(*2017年)11月13日のイラクとの親善試合の後、世論はハキーム退陣でまとまった。イラク戦でチームが最悪の試合ぶりを見せたからだ。

試合が終わると、連盟とハキーム氏にはとてつもない嵐のような抗議が殺到し始めた。抗議は、30年に一度と言われる黄金世代の選手たちを代表チームで起用する必要があると訴えるものだった。

スーマのコメント

最近になって代表に復帰したサウジアラビアのアル=アハリーでプレーするストライカー、オマル・スーマは、こう強調する。プレーオフでチームはオーストラリアに「戦術面」で敗れた。そのことで選手、とくにプロ選手たちは監督に不満を抱いている。というのも彼らは(*ふだんから所属クラブやリーグで)世界的な監督と接しているのだ。それで比較してしまう。サッカー連盟は迅速にファンたちの声に対応し、対面を保った。

低い力量

こんなシーンが何度も見られた。フィラース・ハティーブが、プレー方法や新しい戦術の必要性を、ハキーム監督に説明しながら代表チームを指揮しているシーンだ。これはハキーム氏が監督としての能力を失っていることを示した。

評論家たちの間では、アジアプレーオフ進出という、ハキーム氏がチームとともに成し遂げた成績は、選手たち、とくにオマル・フリービーン、アフマド・サーリフ、イブラーヒーム・アーリマ、オマル・スーマといったプロ選手たちの経験によるものだったという意見で一致している。


元記事URL http://www.kooora.com/?n=643021

ハキーム辞任でシリアサッカーの活動混乱

掲載紙:KOOORA
掲載日:2017年11月17日

 

サッカー連盟の求めでアイマン・ハキーム氏が辞表を提出した問題はまだ収束していない。それどころか、今後のシリアのサッカー界に内紛と不安の扉を開くものになると見られている。

KOOORA紙は、シリアスポーツ連盟(シリア国内のスポーツを管轄する最高機関)会長のムワッファク・ジュムア少将が、サッカー連盟が承認しているにもかかわらず、ハキーム氏の辞任を認めない意向である情報をつかんだ。このため、ムワッファク氏は、資金、とりわけドルの不足を理由に、外国人監督との契約も拒否する意向だ。

また、ジュムア氏は、FIFAのもと凍結されている、残額600万ドル以上にのぼる口座の解除についても拒否する。

さらに、一部の関係者は、サッカー連盟が陥っている対立状態、とくに、サラーフ・ラマダーン会長とファーディ・ダッバース副会長との対立、また、サッカー連盟の決定で政治的介入がなされているとの理由をつけて、連盟の活動を停止させるようFIFAに訴え出ようという動きがある。

サラーフ・ラマダーン会長は、すでに、11月15日に報道向けに発表した声明で、30年に一度といわれる黄金世代のもと、表彰台に上るため、外国人監督との契約を真剣に検討しているとし、アイマン・ハキーム氏に対しては代表監督の職から辞するよう求めている。


元記事URL http://www.beinsports.com/ar/كرة-القدم/فيديو/تنحي-الحكيم-حكمة-أم-إقال/711441

ハキーム退陣…解任か辞任か さらなる無秩序を招く

掲載紙:BeIN SPORTS
掲載日:2017年11月18日
執筆者:フマーム・カダル

 

シリアサッカー連盟は、絶対的信頼をもって、2019年のアジアカップまでアイマン・ハキーム氏に代表監督を任せるという方針を突如翻した。一つの親善試合での悪いパフォーマンスを理由に、外国人監督と契約するというのはいったいどういうことなのか?

アイマン・ハキーム氏は代表監督を退陣した。外国人監督と契約したいと方針を転換した、シリアサッカー連盟のサラーフ・ラマダーン会長の声明を受けてのことだった。

会長の声明は、おそらくこの数年で最悪の出来だったある試合の直後発せられた。この試合はイラクでの国際試合禁止措置の解除を支援するために行われた親善試合で、シリアはイラクと1対1で引き分けた。

2018年ロシアワールドカップ予選でシリアをアジアプレーオフまで導いた57歳になる白髪の監督は、会長の声明を受け、辞表を提出することをためらわなかった。この会長の声明は、ワールドカップ予選でシリア代表が冒険を続けていた間じゅう、この国のサッカー関係者があらゆる言葉でハキーム氏を賞賛していたこととは矛盾するものであったのだが。

賞賛は怒りで終わる

アイマン・ハキーム氏は2016年5月、同じシリア人のファジル・イブラーヒーム氏の後任として、シリア代表監督に就任した。当時、シリアが史上初めてワールドカップの出場権を勝ち取ることについて話題にするものはいなかった。アジアの強豪チームの中で、ベストを尽くそうといったことが話されていた程度だった。

ところが、ライバルチームが調子を落としたこともあり、シリア代表が好成績をあげ始めるにつれて、国民は夢をふくらませ、監督も、不可能ではない可能性について語り始めた。対照的に、SNSなどの普及により影響力を強めていたシリアのサッカーのサポーターたちは、はっきりとチームの守備的戦術を批判していたことは当然のことである。しかし、関係者や専門家、それにファンの間でも、ハキーム氏への支持は大きくなっていった。

ハティーブやスーマの復帰もあり、チームのレベルは上がり、3次予選でイランと2対2で引き分けたことで、ロシアへの切符を獲得するまであと一歩のところにまでたどり着いた。

ハキーム氏への大きな批判の要因となったのは、とくに選手の起用法についてだった。それはオーストラリアとのアジアプレーオフの2試合で完全に明確となった。

シリアはアジアの強豪の中で最弱というわけではない。実際のところ、攻撃のために才能ある選手を投じ、攻撃に力点を置く必要がある。ところが、ときには、守備的MFの3選手は自陣に閉じこもってプレーしているのだ。

これらのことが、監督に対する批判の声を大きくした。こういった批判は、イラクとの親善試合の結果で噴出する前まで、ファンレベルの間にとどまっていたが、試合後ハキーム解任の要求は公然のものとなり、連盟会長の声明が発表されるまでになった。声明はサポーターたちの要求に応えたものだった。これはシリアにおいてはめずらしい出来事である。

代表チームが待ち望んでいるもの

無秩序。最近のシリアのスポーツ界の中心で頻繁に聞かれる言葉である。ファンなら完全に認識していることだが、歴代のサッカー連盟は、過去の成功を積み上げようとはしてこなかった。

選手たちは、躍進の結果スポーツ界から注目を集める存在となり、影響力も増しているが、およそ1年後にUAEで開催される大会でアジアカップを獲得し、またファンたちに借りを返す約束したいと思っている。

しかし、そのような大きな目標を達成するためには、多くのキャンプやさまざまな準備、プロジェクトを実施しなければならない。選手たちのポテンシャルから見て、この目標は決して不可能なものではない。だが、それには最高レベルの指導者が必要だ。運や対戦相手の調子に左右されるようではダメなのである。

また、戦時下のシリアで、しかもFIFAによってサッカー連盟の資金が凍結されており、約束通りにそれにふさわしい報酬の支払いが行われない可能性もある中、任務を遂行しなければならないのである。

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