今回紹介するのは、2016年12月7日にアルニーリーン(エジプトのネットメディアか)が掲載したイラクで試合後の選手が刺殺されたというショッキングなニュース。AFPが配信した記事をスカイニュースが掲載し、それを転載した記事のようです。
記事の見出しを見たとき、これはまた戦争がらみ、あるいはイスラム国がらみの記事かと思ったのですが、どうもそれらとは無関係でした。単に試合中のトラブルに端を発して、興奮した相手チームのサポーターが選手を刺し殺したということで、偶発的な事件のようです。
驚かされたのは、これがアマチュアチームどうしの試合だったことです。サッカーの試合内容で興奮してというより、前々からの遺恨が何かのきっかけで暴発した末起こった事件、ということなのかもしれません。
しかし、イラクのトップリーグである、プレミアリーグでも暴力沙汰が目立ち、今年からは観客席を私服警官に監視させているといいますから、スタジアムはとても魅力的なエンターテインメント空間ではないようです。国内の治安状況から推測して、各試合にそう大勢の観客が詰めかけているとは思えず、スタジアムにさほど盛り上がっていないのではないかと思います。それでも暴力事件が起こるのは、サッカーとは直接関係のない理由で発生しているのかもしれません。
今回の記事も隔靴掻痒という感じで、肝心の殺人事件に至った原因はそもそもなんだったのか明確に述べられていません。なんでこの点が曖昧にされているのか不思議でなりません。
また、事実関係にも大きな疑問点があります。見出しと冒頭で、選手が殺害されたと記載されているのですが、本文中ほどで出てくる地元当局者の話では、選手は病院に運ばれたが重傷を負った、となっている点です。死んだのか、一命をとりとめたのか、はっきりしない。見出しがそうなっているのだから、おそらく亡くなったのだとは思うのですが。(追記あり)
アラビア語紙の記事って、細部がどうもはっきりしないことが多いんですね。いや、たんにぼくの読解力に問題があるだけか。
追記 記事本文からは死亡したのか重傷なのかはっきりしない旨書きましたが、そう読み取ったのはやはり、ぼくのアラビア語力の問題でした。記事本文には明確に死亡したことが明記されていました。ちょっと凝った表現を使っていたので、それと気がつかなかっただけでした。該当箇所は訂正済みです。
元記事URL: http://www.alnilin.com/12830074.htm
イラク人選手、試合直後に殺される
2016年12月7日
アルニーリーン紙
地元当局者がAFPに語ったところによると、月曜日(2016年12月5日)夜、イラク南部の都市バスラのアマチュアサッカーチームの選手が殺された。親善試合の直後、対戦チームのサポーターの一人に刺殺された。ピッチ上で起こったトラブルが原因だったという。
事件はFIFA(国際サッカー連盟)委員会のイラク訪問の数日前に起こった。委員会は、治安状況の悪化を理由にイラクに課しているイラク国内での国際試合禁止措置の解除を検討するため、スタジアムの整備状況を評価することになっている。
バスラ青年スポーツ支援のためのスポーツ委員会会長アブドゥル・アミール・ラティーフ氏によると、アルハヤーニーヤとアルジャニーナのアマチュアチームどうしの試合が、バスラのアルハリージュ・アルアラビースタジアムで行われたが、トラブルは試合の最中から始まっていた。
ラティーフ氏はAFPの取材に対し、「試合の間から張り詰めた空気のもとでのプレーで選手間で口論が起こっていました。それがスタジアムの外で観客と両チームの選手との衝突に発展してしまったんです。さらに、サポーターたちが選手の一人を2回突き刺したのです」と話している。「選手は重傷を負い、病院に搬送されたんですが、途中で亡くなっていましました」
選手はアルハヤーニーヤの所属、刺した男はアルジャニーナのサポーターだった。
複数の目撃者はAFPに対し、そのサポーターはナイフを取り出し、スタジアムの敷地外にある小さなレストランにいた選手に襲いかかったと話している。
この事件は、イラクで広く人気を有するサッカーの試合における安全に関わる事故や暴動など、治安面での課題を浮き彫りにした。
アブドゥル・ラティーフ氏は、試合中の出来事やその後の事件を受けて次のように話している。「イラクのスタジアムの禁止措置の解除に向けてことが進んでいる中、われわれはスタジアムで起きたこのような行為や悲しむべき事件を認めるわけにはいきません」
イラク当局は、スタジアムの治安状況の改善に努めている。イラク内務省はこの4月、今年になって顕著になってきているイラクリーグでの暴動を防止するため、観客席に私服の治安要員を配置することを発表した。
スカイニュースより