コロナ感染拡大の中でもシリアリーグは観客で埋まる

シリア国内リーグ

コロナウイルス感染拡大にもかかわらず、シリア・プレミアリーグでは戦争勃発以来最多と見られる観客数を記録する一方で、当局は何の感染対策を講じていません。今回紹介する記事は、国内の実際の感染状況は政府発表の何倍もひどいことになっている中、政府の無策が続いているという内容です。

新型コロナウイルスの感染拡大で、各国のサッカーリーグは様々な対策を講じながら実施されていますが、シリアは例外です。ネット上で見ることができるスタジアムを映した動画を見ても、入場者を制限しておらず、観客が大声を出して応援することも禁じられていないようです。マスクをしている観客もいません。というか、試合によっては入場料を無料にし、大勢の観客が訪れるよう促すこともやっています。

紹介した記事は、シリア人権監視団というイギリスに本部を置く団体によるもの。反政府系団体として有名です。戦争による被害の実態など、政府発表とはまったく異なる詳細な情報を戦争勃発当初から日々発信し続けています。同組織が発表する情報については、以前からその正確性に疑義を呈する声がありますが、一方で、国連や各国政府、大手メディアなどは、この組織が発信する情報に依拠することが多いようです。

今回の記事でも、独自の情報源により、感染の実態を政府は隠蔽していると批判しています。

現時点(2021年1月17日)でのシリアおよび周辺国の新型コロナウイルス感染状況は以下の通りです。各国の政府発表の数字をもとにしたものですが、シリアの状況は周辺国に比べて極端に低く抑えられていることになっています。

国・地域 感染者 死者 感染者数人口比 死者数人口比
トルコ 2,387,101 23,997 2.814% 0.028%
イラン 1,330,411 56,803 1.573% 0.067%
イラク 608,232 12,944 1.495% 0.032%
イスラエル 548,332 4,005 6.283% 0.046%
サウジアラビア 364,929 6,323 1.040% 0.018%
ヨルダン 314,514 4,145 3.066% 0.040%
UAE 253,261 745 3.066% 0.040%
レバノン 252,812 1,906 3.713% 0.028%
パレスチナ 171,215 1,881 3.316% 0.036%
カタール 147,277 246 5.245% 0.009%
シリア 13,036  832 0.074% 0.005%
イエメン 2,112 612 0.007%  0.002%

(中東調査会の下記サイトより作成)
https://www.meij.or.jp/content/files/20210118corona.pdf?fbclid=IwAR3fM_MzYCR7N_nmlA-P4mf4G5ibW5g8-C2vJdMZuQLn7JqYt2UavbIFezc


コロナ感染症対策取らないシリア政府…観衆で埋まるスタジアム

掲載紙:シリア人権監視団
掲載日:2020年12月16日
URLhttps://www.syriahr.com/في-ظل-تفشي-وباء-كورونا-وغياب-الرقابة-م/411099/

(小見出しは訳者によるもの)

コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の危険があるにもかかわらず、今シーズンのシリアの国内リーグの試合会場には、戦争勃発以来最多といわれる数のファンの姿が見られる。

内戦勃発以来最多の入場者

シリアではコロナウイルス感染拡大の初期に外出禁止措置が発令されていた。だが、同措置の解除後、シリアサッカー連盟が試合会場へのファンの入場を認めると発表すると、世界的に感染再拡大した状況の中でも、感染の危険があるにもかかわらず、スタンドは観客であふれかえっている。

とくに、ティシュリーン、フッティーン 、カラーマ、イッティハード、フッリーヤ、ワフダといったチームのいくつかの試合では、会場でコロナ感染対策が取られていない中、平均2万人ものファンが入場している。

隠蔽されている感染の実態

当人権監視団は12月4日(*2020年)、シリア政府が、政権支配地域の新型コロナウイルス感染者および死亡者の実際の数を隠蔽し、虚偽の数字を発表し続けていること、医療状況は悪化し続けており悲惨な状態になっていることをすでに発表した。シリア保健省が公表しているコロナウイルス感染者は累計で8147人、死亡者は432人、回復者は3748人となっている。

これらの数字は政権側の嘘を証明することに他ならない。当監視団は以下の情報をつかんでいる。政権側支配地域の複数の医療関係者によると、国内の各県では、連日数約人もの感染者を記録している。しかも一部の地域では日常的に感染者数千人、死亡者数十人を出す事態となっている。また、感染者、死亡者は国内の様々な県で発生しているが、大半は、おもにスワイダー、ラタキア、ダマスカス、ダマスカス郊外などで発生している。

対策ないまま実施されるリーグ戦

しかも、感染が拡大しているにもかかわらず、政府が感染の予防措置を取らないばかりか、パン屋やガソリンスタンド、商店街などでは混雑や人々が行列をつくっている様子が見られる。さらに、サッカーの試合が、大勢の観客を入れて実施されているのである。世界の大半の国では、感染対策のため厳格な予防措置を講じて行われている。

政権側が支配する地域の複数の信頼できる医療関係者から当監視団に寄せられたデータによると、COVID-19ウイルス感染者は7万8900人、死亡者は5010人に達し、回復者は2万4500人だという。

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