意外に厳しいサウジチームの財政事情 金満クラブは過去の話

今回紹介するのは、2016年7月19日配信のシャルクアウサト紙の記事。サウジアラビア国内リーグ2015/16シーズンのチャンピオンチーム、アルアハリーに関するものです。

今では、世界的な金満チームといえば中国のクラブの名前がすぐに浮かびます。しかし、数年前まではサウジや、UAE、カタールなどの湾岸諸国のクラブが「金満」の代名詞だったと思います。オイルマネーを背景に世界の有名選手を買いあさっていた印象があります。Jリーグで活躍した選手がシーズン途中湾岸のクラブに引き抜かれるという話はよくありました(現在でもあります)。

ただし、世界的な原油安の影響を受けてのことなんだと思いますが、「金満」と思っていた湾岸諸国のクラブチームの財政事情は思いのほか脆弱なようです。サウジを代表する強豪チーム、アルアハリーがエジプトのクラブチームから獲得した選手の移籍金を支払えずにトラブルになっていた(給料も遅配していた)、というのが今回の記事の内容です。

しかも、このトラブルの解決方法が、まさにサウジ的といいましょうか、王族の一人が金を調達するというものでした。

今回の記事は、前回紹介したアルスマ選手の帰化問題に関連する記事を探しているとき見つけたものです。見出しを読んで当然アルスマ選手に関するものだと思ったのですが、結局ほとんど関係ありませんでした。


元記事URL:http://aawsat.com/home/article/692746/انفراج-في-أزمة-تأشيرة-السومة

アルスマ選手の入国ビザ問題解決

2016年7月19日
シャルクアウサト紙

ある情報筋は本紙の取材に、ムサーイド・アルズワイハリー氏が会長をつとめるアルアハリー・クラブ(サウジアラビア)はエジプトのムハンマド・アブドゥル・アッシャーフィー選手の移籍に伴う特別に残された資格事項に関する問題が最終的に解決し、移籍金130万ドルが正式に、エジプトのアルザマーレクの口座に送金されたことを明らかにした。

2シーズン前の終わりに、エジプトのアルザマーレク・クラブからアルアハリーに加入したエジプトの国際的なDFムハンマド・アブドゥル・アッシャーフィー選手の移籍金の支払いに関して、過去数か月もの間、とくにアルザマーレク関係者の間で強い反発を引き起こしていた。アルアハリーがアルザマーレクに対する移籍金の支払いを、期限の2016年はじめになっても履行しなかったからである。アルアハリー側の釈明によると、クラブの財政上に理由で、支払いが滞っているということだった。

そのため、アルザマーレクのムルタダー・マンスール会長は、様々なメディアを通して、アルアハリーに対する攻撃、中傷を始めていた。これに対し、アルアハリー側も感情的に応じ、支払いを凍結するなど、怒りをあらわにした。アルザマーレクの会長は、このアルアハリー側の攻撃に応え、移籍金の支払いが滞っているアルアハリーに対する不平をFIFAにうったえる事態なっていたのである。

これに対し、アルアハリーは先週、同クラブの象徴的な存在であるハーリド・ブン・アブドゥッラー王子から多額の資金援助を受け、アッシャーフィー選手の移籍金の残額を支払った。ハーリド・ブン・アブドゥッラー王子が、問題解決のため、ファイサル・ブン・ハーリド王子が代表をつとめる新財政機構から6800万リアルの提供を受け、アルアハリーのすべての移籍金の支払いと債務返済を保証したのである。

その結果、この数日で、遅れていた選手への給料の支払い、同じく遅れていた選手数人の契約金を支払った。さらに、サウジ・チャンピオンズカップで獲得した報奨金も引き渡した(訳注=誰に引き渡したのかはっきりしない。クラブ所属の選手たちにか?)。

一方、クラブは、トップチームに所属するアミール・クルディー選手の契約を2年間延長すると発表した。また、昨夜、DFアキール・バルフース選手と3年間の契約更新を行ったことを公式に発表した。同選手との契約が合意に至ったのは、チームが国外キャンプに出発する数時間前のことだった。

チームは昨夜、来シーズンに向けたトレーニングキャンプのため、予定より1時間遅れで、ジェッダからスペイン南部の町マルベーリャに向けて出発した。キャンプは8月5日まで行われる予定である。

さらに、クラブ関係者は本紙の取材に対し、オマル・アルスマ、ムハンマド・アブドゥル・アッシャーフィー両選手のイギリスへのダブル・エントリービザ問題は解決したことを明らかにした。

アルアハリーは、8月8日ロンドンにおいてサウジ・スーパーカップでアルヒラールと対戦することになっている。この問題には、最高位の外交当局者とともにクラブの高位の王族関係者が介入して対処した。また問題解決に向けて、試合の準備に支障が生じないようサウジサッカー連盟も強力に要請していた。

その結果、クラブは昨日、2選手がチームメイトとともにイギリスへの入国ができるダブルエントリービザの取得が正式に認められたとの通知を受けた。アルアハリーは2選手への入国ビザが取得できないことを理由に、サウジ・スーパーカップへの参加を拒否し、2日前にはクラブは、試合を他国で開催するよう求める声明を出していた。

タイトルとURLをコピーしました