今回は、シリアのティシュリーンSCというチームにシリアサッカー連盟が重い処分を科したという記事です。
シリア国内のトップリーグは、シリア・プレミアリーグと呼ばれています。14チームで構成され、今週末で2017/18シーズンが終了予定です。ラタキアという地中海沿岸の美しい町を本拠とするティシュリーンは、現在4位。リーグを代表する強豪チームというわけではありませんが、リーグ随一の人気チームのようで、また、熱狂的サポーター集団でも知られています。
4月に行われた試合で、そのティシュリーン・サポーターが、シリアスポーツ連盟(シリアサッカー連盟の上部組織)を中傷したとして、シーズン残りのホームゲーム(2試合)をラタキア市外で無観客での開催を科せられる処分を受けました。
サッカーはシリアにおいてダントツの人気スポーツで、それゆえ、様々な勢力が入り乱れて暗闘をくり広げられているようです。今回の処分も背景にはそういった事情があるようです(ティシュリーンのサポーター集団については、次回の投稿でも関連記事を紹介する予定です)。
ただし、政治的背景があるにしても、シリアのスタジアムでは問題行為が続発していることは確かです。今回の記事には書かれていませんが、ティシュリーンは、処分が発表された次の試合(ティシュリーン対ジャイシュ)でも暴言を理由に選手が2試合の出場停止と罰金2万5000シリアポンドが科せられています(1ポンド=0.21円だから大した金額ではないと思う)。このときの対戦相手であるジャイシュの選手と監督も同様の処分を受けています。
また、フッティーン・サポーターが、カラーマ戦でレフェリーに集団で暴言を吐いたとして、5万シリアポンドの罰金、ワスバのチームスタッフら3人が判定に抗議してピッチ内に入ったとして7万5000シリアポンドの罰金を科せられています。
さらに、これとは別に、理由は不明ですが、タリーアというチームも罰金と無観客試合という処分を受けたことに対して処分の軽減を求めていましたが、連盟はこれを却下したとの報道もあります。
長く続いた戦争が収まりつつあり、リーグ戦が開催できる都市が広がって、人びとが喜んだのもつかの間、シリアのサッカー界には、新たな問題が浮き彫りになりつつあるようです。
元記事URL:
https://www.enabbaladi.net/archives/225226
アサドの肖像を使った横断幕でティシュリーンが処分
掲載紙:イナブ・バラディー
掲載日:2018年4月30日
(*は訳注)
シリアサッカー連盟は、ティシュリーンのサポーターがシリアスポーツ連盟を「中傷」したとして、処分を科すことを発表した。
サッカー連盟が本日(2018年4月30日)発表した声明によると、「ティシュリーンに対し20万シリアポンド(*約4万2000円なので大した金額はないと思われる)の罰金の他、今シーズンの残りのホームゲームを(*ホームの)ラタキア以外で、無観客で行う」ことが科せられた。
声明はその理由として、先週金曜日(2008年4月27日)に行われたシリアリーグのイッティハード戦でサポーターが、スポーツ連盟幹部を中傷する横断幕を掲げ、侮辱したことをあげている。
また、サポーターは、レフェリーの指示を無視して、スタンドで発煙筒に火をつけ、代表チーム監督とマッチコミッショナーを侮辱している。
SNS上では、ティシュリーンのサポーターが掲げた横断幕の写真が拡散された。横断幕には、「おれたちとともに腐敗したスポーツ連盟とたたかおう」との文言とともに、アサド大統領の顔が描かれていた。シリアスポーツ連盟はこれを連盟に対する中傷ととらえている。
週刊「リヤーダ」誌による、シリアスポーツ連盟会長のムワッファク・ジュムア少将を腐敗問題で告発する報道がなされて以降、ここ数か月、同連盟に関する風評がエスカレートしている。
これに対し、ジュムア氏は告発内容を否定、「リヤーダ」誌と告発記事を執筆した記者を相手取って訴訟を起こしている。
だが、処分は、恣意的で、弾圧を目的としてもので非論理的であると、ティシュリーン・サポーターの怒りを呼んでいる。
一方、地元のネットメディア「ダマスカス・ナウ」は、今回の処分について、サッカー連盟創立以来の最悪の決定だと評している。
ラタキア市(*ティシュリーンのホーム)では先月(*2018年3月)にも、シリア1部リーグのティシュリーン対ナワーイル戦の終了直後にも騒動が発生している。
騒動は、ナワーイルの得点を認めた判定に対し、ティシュリーンのムアーウィア・ジャアファリ会長が、ピッチに入り、レフェリーのザカリヤ・アッルーシュ氏に暴行を加えたことが発端となった。
先月、シリアリーグの会場では複数の騒動が発生している。
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[…] するティシュリーンSCのサポーター集団は、シリアサッカー連盟が、同クラブに科した処分の発表を受け当惑している。処分は、先月(2018年4月)下旬の試合で、ティシュリーン […]