この記事に掲載されている写真を目にしたとき、驚きました。過酷な戦争状態が長期に続いているシリアで、大勢の人たちがスタジアムでサッカーを観戦している様子が写し出されていたからです。
戦時下でもシリアではずっと国内リーグが開催され続けてきました。いうまでもなく、これは治安上、かなりの危険を伴うことです。大勢の人が狭い空間に集うわけですから、テロ行為の格好の標的になります。いわゆる自爆テロでなくても遠くからスタジアムにミサイルを打ち込むこともできるでしょう。本サイトでも反政府武装勢力によるスタジアムを狙ったミサイル攻撃により、選手やチーム関係者が死傷したという記事を紹介したことがあります。
ですので、そういう危険性を考慮し、これまでは、試合は行うが、無観客で行ったり、観戦を認めてもごく限られた人数に限定するという形で行われていたようです。
今回紹介する記事によると、全面的かどうかはわかりませんが、今シーズンから基本的に観客の入場を許して試合が実施されるようになったようです。これらの写真がいつどこでどのようにして撮られたかについての説明はいっさいありませんので、これが現在のリーグ戦の写真なのかどうかうかつに断定しがたいものがあります。また、記事が掲載されたサイトが、アサド政権軍を支援しているイラン系の通信社であることも考慮に入れなくてはならないでしょう。
しかし、観客を入れての試合が行われるようになったこと自体、人びとにとっては喜ばしいことだと言えます。
もちろん、シリア国内には非常に危険な地域も多くありますので、リーグ戦は、比較的治安が安定している首都ダマスカスと地中海沿いのラタキアという２都市のみでの開催となっています。
元記事URL：
ダマスカス報告
活況呈すシリアのサッカー事情
Tasnim News
２０１５年１２月２７日
（写真 وکالة تسنیم الدولیة للأنباء – كرة القدم في سوريا تشهد نشاطاً جماهيرياً ملحوظاً وتحقيق إنجازات+ صور より）
今シーズンのシリアのサッカーは、著しい国民的な活況を呈している。過去４年間でシリアのサッカー界は大きく落ち込んでいた。シリアでは国家が危機に陥った結果、多くの分野において否定的な影響が出ているが、スポーツ界も同様である。しかし、サッカーに限っては様々なカテゴリーでの代表チームの好結果達成を受け、活力を取り戻し始めている。
以前からシリアのサッカーの国内リーグは、各地において、また国民各層にとって特別の存在だった。かつてはアレッポのスタジアムを含め、各地のスタジアムに集まる観客数は９万人に達していた。首都ダマスカスのアッバーシーン・スタジアムには５万人もの観客がつめかけていた。現在の危機が始まる前、シリア人はみんなどこかのチームのサポーターだった。
ここ数年間の国内リーグは無観客で試合が行われていたが、今シーズンは、スタジアムに観客を入場させて行われている。観客を入場させたことは代表チーム、クラブ双方に肯定的な影響を与えている。代表は、ワールドカップ本大会の出場権をかけたアジア予選で、最終ラウンド進出をほぼ確定させているし、クラブでは、アルワハダとアルジャイシュの２チームが３年連続でアジア連盟カップに出場することになっている。
観客を入場させての試合実施はダマスカスだけにとどまらない。地中海沿岸のラタキアでも行われるようになっている。
今日の危機が始まって以降のシリアリーグのレギュレーションは、２０チームを２グループに分け、グループ１のチームはラタキアでアウェイゲームを、ダマスカスでホームゲームを行い、グループ２のチームはその逆となる。各グループの上位４チームが決勝ラウンドに進出して優勝を争う。
（写真 وکالة تسنیم الدولیة للأنباء – كرة القدم في سوريا تشهد نشاطاً جماهيرياً ملحوظاً وتحقيق إنجازات+ صور より）
（写真 وکالة تسنیم الدولیة للأنباء – كرة القدم في سوريا تشهد نشاطاً جماهيرياً ملحوظاً وتحقيق إنجازات+ صور より）
（写真 وکالة تسنیم الدولیة للأنباء – كرة القدم في سوريا تشهد نشاطاً جماهيرياً ملحوظاً وتحقيق إنجازات+ صور より）
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