シリアで初 女子の国内リーグ開催

シリア国内リーグ
優勝したアームーダSC女子チーム

シリアで初となる全国規模の女子リーグが開催され、アームーダSCという同国北東部、トルコと国境を接する町のチームが優勝を飾りました。

シリアの女子サッカーは、2011年に戦争が始まって以来、ほとんど顧みられることがありませんでしたが、最近になってサッカー連盟が多少は力を入れ出しているようです。以前、本ブログで男子のトップチームのコーチに就任したマハー・ジュヌードさんのことを紹介したことがありましたが、そのマハーさんがサッカー連盟で女子リーグの担当になっています(参考:シリア男子チームを指導する女性コーチ – 中東 フットボールと人びと)。

初回となる今回のリーグ戦には、国内6県から7チームが参加(リーグ戦自体戦争勃発以前に2度ほど開催されたことがあるようですが、規模も体制も今回とはかなり異なっていると思われます)。アームーダは、クルド人が多く居住する町で、同国北東部は現在、クルド人勢力とシリア軍とが共同で統治しているようです。

男子サッカーのシリア代表は日本と試合をしてもいい勝負をしますし、先月のU23アジア選手権では勝利したりするほどの実力です。しかし、女子の場合はレベルはまだまだといったところです。ネット上にリーグ戦の試合の動画がいくつか上がっていますが、基本的な技術は未熟だし、スピードもなく、体型もいわゆるアスリートのそれになっていない選手も珍しくありません。

ただ、10代20代のほとんどを戦時下で過ごしながらも、ずっとサッカーを諦めずに、全国リーグ開催までこぎつけ、懸命にプレーする若い選手の姿を見ると、それだけで称えたくなります。

●シリア女子リーグ2019/20シーズン最終順位

順位 チーム 行政区 試合数 勝点
1 アームーダ ハサカ 12 28
2 ムハーファザ・ホムス ホムス 12 23
3 シュルタ・ハマ ハマ 12 23
4 アラビー スワイダー 12 20
5 ムハーファザ ダマスカス 12 12
6 ジャラマーナ ダマスカス郊外 12 10
7 ウンマール・スワイダー スワイダー 12 2

(写真=優勝したアームーダSC女子チーム。出典はここ


シリア女子リーグ アームーダSCが優勝

掲載紙:アルタFM
掲載日:2020年1月27日
URL
http://www.artafm.com/opinion/19728?fbclid=IwAR1Mkp_2sXP2zuqEJYKigLRm1yNqcUb9zNCi2oS9S3d83_Hs-A8jgzZFcl0

(本文中*は訳注)

「歴史のページにきみの名前を刻みつけたいと思うなら、強い意思と規律と努力が必要だ」

これは、シリアで初めての開催となったシリア女子リーグに参戦するため遠征した際のアームーダSC女子チームが掲げたスローガンである。

そして今日、アームーダはジャラマーナ戦に勝利し、1試合を残しこのスローガンを現実のものとした。今週木曜日に全日程を終えれば、クラブの名は、シリアで初めて開催された女子リーグのチャンピオンとして、同国女子サッカーの歴史の1ページに正式に刻み込まれることになる。

7チームが参加するリーグ戦の初代王者となる旅は、1月14日に始まった。アームーダは本日のジャラマーナ戦で5試合をたたかっている(*リーグは前後期の2回戦制で実施されている。1月14日に始まったというのは後期日程)。

これまでの戦績は、シュルタ・ハマを4−0、ムハーファザ・ダマスカスを3ー2、そしてウンマール・スワイダーを4−0でそれぞれくだし、前節ではムハーファザ・ホムスとは1−1で引き分けていた。

本日のジャラマーナ戦までに、アームーダはタイトル獲得まで一歩のとこまで来ていたが、これに3−0で勝利したことで1試合を残し優勝を決めた。

キャプテンのアーラー・アフマド選手はアルタFMの取材で、優勝の喜びを「歴史的」と表現し、選手全員とチームスタッフの頑張りで達成できたものだと話し、こう続けた。

「私もそうですがチームのみんなは、とてつもない高揚感に包まれています。この優勝を、ハサカ県とクラブ、そしてタイトル獲得のために私たちとともにたたかい、支援してくれたみなさんに捧げます」

優勝は、アームーダSC女子チーム立ち上げからわずか2年、しかも全国レベルの試合経験がない中で勝ち取ったものだった。

選手たちは、ジャジーラ地方(*シリア北東部。いわゆるクルディスタンと呼ばれる地域)で行われたいくつかのローカルな大会に参加した経験がある程度だった。ただ、昨年ダマスカスで行われたフットサルの大会に出場し、優勝は逃したものの好成績を収めていた。

しかしクラブはこの2年間、プロ選手からなる強力なメンバーを揃えてきていた。選手の平均年齢は他チームに比べて若いが、現在のメンバーの中には、ダマスカスやジャブラ(*ラタキア県。地中海沿いにある都市)、ホムス、コバネ(*シリア北西部アレッポ県。アラブ名アインアラブ)、カーミシュリ(*シリア北東部ハサカ県)あるいはジャジーラ地方のその他の町々の出身の選手たちがプレーしている。

初のリーグ戦で優勝したことで、選手たちの前にはアジアを舞台とした大会に出場する扉が大きく開かれることになる。また、現在アームーダからシリア代表に選出されているのは4人だが、今後は当然のことながら代表入りするメンバーも増えることにもなるだろう。

コメント

  1. […] なく、シリアとしての一体性は保持する)。今年初めて開催された女子のシリアリーグで優勝したアームーダも同様のケースですね(参考:シリア女子リーグ アームーダSCが優勝)。 […]

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