トルコ占領下のアフリーンに夢近づく プレミア昇格目前

シリア国内リーグ
アフリーンSCのFacebookページより

来シーズンのプレミアリーグ参入をかけたシリア1部リーグの昇格プレーオフが、(2021年)4月27日、5月4日にホーム&アウェー方式で行われます。対戦カードは、ナワーイール(北部地区2位。ハマ)対マジド(南部地区1位。ダマスカス)、アフリーン(北部地区1位。アレッポ県アフリーン)対ムハーファザ(南部地区2位。ダマスカス)で、各勝利チームが昇格します。

国際的な経済制裁が長く続くシリアでは、トップリーグのプレミアリーグも財政難のチームが多いのですが、下部リーグである1部リーグになるとなおさらです。

今シーズンも例年同様、シーズン途中に資金不足に陥り、リーグを離脱するチームが出る事態も生んでいます。

困難が山積するその1部リーグの中でもさらに厳しい状況に置かれているのが、シリア北部の都市アフリーンをホームとするアフリーンSCです。同市は2018年から現在に至るまで、トルコの侵略を受けており、チームは拠点をアレッポに移してたたかいを続けているのです。

アフリーンSCの躍進

ところが、2020/2021シーズンのアフリーンは現在まで快進撃を続けています。

1部リーグは全24チームを北部、南部の2地区に分けてリーグ戦を行っているのですが、アフリーンは北部地区の1次ラウンド、2次ラウンドともにグループ首位の成績で通過、南部地区2位のムハーファザ(ダマスカス)とのプレミア昇格プレーオフにまでこぎつけています。

幸か不幸か、一時的にアレッポに拠点を移した結果、チームには地元の名門クラブ、イッティハードの育成機関出身の若い有望選手が多数加わるようになり、それがそれまで低迷していたチーム力向上に結びついているようです。

(下の写真:トルコ軍のアフリーン攻撃反対、オジャラン氏の解放を求めたデモ。2018年2月ローマ。本文とは関係ありません)
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今回は、サッカー専門サイト「KOOOORA」に2021年4月17日に掲載された「夢に近づくアフリーン」(عفرين يقترب من حلم العودة للدوري السوري)からその要旨を紹介します。

プレミアクラブ以上の好条件整備

アフリーンSCは今シーズン3度目のプレミア昇格へ向けて歩みを進めているが、同クラブはこれまで2回プレミアリーグに昇格したものの、いずれも1シーズン限りで降格してしまっている。

だが、今回は戦力の点でも、サポーターの支援の点でも、過去2回とは、様相を異にしているようだ。

アフリーンのこれまでの歩みはまったく平坦なものではなかった。現在、チームはアレッポ の「4月7日スタジアム」をホームとしている。というのも、シリアをとりまく情勢のため、彼らのホームであるアフリーン市にアクセスことができないからである。

このためクラブは二重の困難を抱え込むことになった。リーグの定める負担金や選手たちへの報酬、遠征費などを工面するため、サポーターらに支援を呼びかけた。

その甲斐あって、アフリーンの元選手で現在ベルギーに居住するマスウード・ラシード氏とパートナー契約を交わすことができた。ラシード氏がクラブの財務全般について融資することになったのである。

この契約によって、選手たちは安定した報酬を受け取ることができるようになり、精神的に安定し、戦力面での向上もうながす結果がもたらされた。安定的な報酬支払いは、トップリーグであるプレミアの大半の選手でさえ実現していないことなのである。

名門クラブから若手選手多数合流

現在、チームは若手中心に構成されているが、その多くはアレッポの名門イッティハードの育成機関出身の選手たちである。

また、アフリーンSCには、アブドゥルカーディル・ダッカ、ムアタズ・カイルーニーといった2人の元シリア代表選手をはじめ、多くの経験豊かな選手が在籍していたことも忘れるべきではない。

アフリーンSCは1984年に創立。これまで、2007/2008、2009/2010シーズンにプレミアリーグに昇格したが、いずれも1シーズンで降格した。

1部リーグ、さらには2部リーグにまで降格するという苦杯を舐めたが、昨シーズンあたりから戦力が向上し、今シーズンは資金面で安定し、新たな指導陣のもと、プロフェッショナルな方法でさらなる向上を図っている。多くのすぐれた選手を獲得するとともに、新たなコーチングスタッフの招請も行った。

2次ラウンド始まる前の2020年11月には、元シリア代表DFで現役選手としてプレーしていたバクリー・タラーブ(36歳)を監督に招き、リーグのたたかいを続けている。

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