アラブカップの見どころと市場価値

中東全般
スカイニュースのサイトより

2021年12月にカタールでアラブカップというトーナメントが開催されます。カタールW杯のちょうど1年前に行われるこの大会は、W杯のテスト大会という位置づけです。先月(2021年4月)、グループステージの組分け抽選が行われました(本文末参照)。

組分け決定を受け、「スカイニュース」アラビア語版が興味深い記事を配信しています(بالأرقام.. تعرف على أغلى المنتخبات المشاركة في كأس العرب | أخبار سكاي نيوز عربية)。

アラブで最も市場価値の高い代表チームはどこか。

それによると、モロッコ(約2億2200万ユーロ)が1位。そして、個人別ではエジプトのムハンマド・サラーがダントツ(約1億1000万ユーロ)の1位です。

一方、シリア代表は10位(約1000万ユーロ)で、意外なことにリビアやコモロよりも低いというのが現状なんだそうです。ただし、個人別ではオマル・スーマが580万ユーロで全体で6位で、アジアに限ると、トップです。

チームと選手の市場価値

同記事は、サッカー専門サイトTransfer Marketのデータをもとに、代表チームと、各チームで最高の市場価値を有する選手の金額をランキング形式で、以下の通りまとめています。

アラブカップ参加チームの市場価値

順位 チーム(FIFAランキング) 金額(ユーロ)
1 モロッコ(33) 2億2240万
2 アルジェリア(34) 1億7835万
3 エジプト(46) 1億5965万
4 チュニジア(26) 4973万
5  UAE(73) 2503万
6 サウジアラビア(65) 2258万
7 カタール(58) 1478万
8 リビア(119) 1448万
9 コモロ(131) 1105万
10 シリア(79) 1000万
11 イラク(68) 718万
12 ヨルダン(95) 595万
13 モーリタニア(101) 500万
14 オマーン(80) 353万
15 パレスチナ(104) 300万
16 レバノン(93) 200万
17 クウェート(148) 200万
18 バーレーン(99) 200万
19 イエメン(145) 158万
スーダン(123)南スーダン(169)ジブチ(183)ソマリア(197) 不明

個人別市場価値ランキング

各代表チームで最も高い市場価値を持つ選手は以下の通りです。これはあくまでチームごとに最高金額選手を抜き出したものです。おそらくモロッコ、アルジェリア、エジプトなどには下表の選手以外にも複数の高額選手がいると思いますが、彼らは対象になっていません。なお、所属クラブはWikipediaなどをもとにしていますが、情報が古い可能性があります。

(下の写真:プレミアリーグの試合中ピッチに入った少年に抱きつかれるサラー(2018年8月12日)。本文とは関係ありません)
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順位 選手 金額(ユーロ) 所属クラブ
1 ムハンマド・サラー(エジプト) 1億1000万 リバプール
2 アクラフ・ハキミ(モロッコ) 5000万 インテル・ミラノ
3 リヤド・マフレズ(アルジェリア) 4200万 マンチェスターシティ
4 アリー・ムスラティ(リビア) 1000万 ブラガ(ポルトガル)
5 ナイム・スリティ(チュニジア)
エリス・スキリ(チュニジア)
650万 イッティファーク(サウジ)
1.FCケルン
6 オマル・スーマ(シリア) 580万 アハリー(サウジ)
7 アリー・マブフート(UAE) 400万 ジャジーラ(UAE)
8 アクラム・アフィーフ(カタール) 350万 サッド(カタール)
9 ムハンマド・カンノ(サウジアラビア) 300万 ヒラール(サウジ)
10 エルファイルド・ベン・ナブアン(コモロ) 250万 レッドスター(セルビア)
11 アブバカル・カマラ(モーリタニア) 200万 ディジョン(フランス)
12 ムーサ・タアマリー(ヨルダン) 180万 ルーヴェン(ベルギー)
13 バッシャール・ラサン(イラク) 70万 カタールSC
13 バーシル・ジャラーディ(レバノン) 70万 ハイドゥク・スプリト(クロアチア)
15 サーリフ・チハーダ(パレスチナ) 40万 トゥーン(スイス)
16 アブドゥル・アジーズ・ムクバリー(オマーン) 30万 シャマール(オマーン)
16 ファフド・ハージリー(クウェート)
ファフド・ラシーリー(クウェート)
30万 イッティファーク(クウェート)
ナセル(クウェート)
16 ワリード・ハイヤーム(バーレーン)
カミール・ハサン・アスワド(バーレーン)
30万 ムハッラク(バーレーン)
フアーア(バーレーン)
19 アトゥハル・ターヒル(スーダン) 25万 スムーハ(エジプト)
20 アブドゥル・ワーセア・マタリー(イエメン)
ムフィード・ジャマール(イエメン)
ナーセル・マムドゥーフ(イエメン)
12.5万 ナフダ(オマーン)
サマーワ(イラク)

チームレベルでは、モロッコ、アルジェリア、エジプトのトップ3とそれ以外のチームとの圧倒的な格差、個人別ではエジプトのムハンマド・サラーの突出ぶりが際立っています。

また、FIFAランキングでは評価の低いリビアやコモロ代表が中位につけているのも興味深いところです。

エジプトのスポーツ評論家アフマド・イマーラは、「スカイニュース」の取材に対し、こう話しています。

「ムハンマド・サラーやリヤド・マフレズといった世界のサッカー界で輝いている選手たちの参加は、盛り上がりという点で、大会成功のカギとなるでしょう。とくにダントツの市場価値を有するサラーの参加が重要です」

大会の見どころ

イマーラは、大会の優勝候補として、アルジェリア、カタールの名をあげ、「この両チーム以外の優勝はないだろう」と予想しています。

グループステージの注目ゲームとして、エジプト対アルジェリア、UAE対チュニジア、サウジアラビア対モロッコをあげています。

「高いレベルのたたかいとなる可能性のあるこれらの試合はアラブの栄誉あるライバルチームどうしの対決です。また、レバノンにはぜひ予選を突破してもらって、シリアとの『シャーム・ダービー』を実現してほしい」と話しています。

また、イマーラは、今回のアラブカップがUAFA(アラブサッカー連盟)ではなく、FIFAの主催大会として開催されることについて、大会運営がより円滑になされることになり、FIFAが主催することでアジア、アフリカ両サッカー連盟、各国サッカー連盟間のスケジュール調整もうまくいくのではと期待しています。

エジプトはスケジュール調整ができず、過去のアラブカップでは参加できないことが多かったと言います。

意外なデータ

1963年以来不定期に過去9回行われてきたアラブカップ。面白いデータがあります。「スカイニュース」によると、最多優勝を誇るのは、4回のイラクです。意外ですね。続いてサウジアラビアが2回、チュニジア、エジプト、モロッコが各1回となります。

さらに意外なのは、準優勝の回数では、シリアが3回でトップ、最多3位チームではクウェートの3回だということです。

今回の大会には、FIFAの世界ランキング(2021年4月時点)の上位9チームと、予選を勝ち抜いた7チーム、合計16チームが参加。グループステージの組分けは以下の通りです。

FIFAアラブカップ、グループステージ

グループA
カタール、イラク、オマーンorソマリア、バーレーンorクウェート

グループB
チュニジア、UAE、シリア、モーリタニアorイエメン

グループC
モロッコ、サウジアラビア、ヨルダンor南スーダン、パレスチナorコモロ

グループD
アルジェリア、エジプト、レバノンorジブチ、リビアorスーダン

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