シリア代表の悲しい現状

今月から始まったW杯のアジア第2次予選、日本はシリアと同じグループに入りました。予選はホーム&アウェーで行われますが、シリア及びアフガニスタンは政情を理由に第三国で開催されます。シリア戦はオマーン、アフガニスタン戦はイランでの開催です。

シリアは戦時下だというのに、なんとか国内リーグを続行しています。これ自体信じがたいことですが、それでもやはり、度々中断を繰り返しているようですし、有力選手のほとんどは国外にプレーの場を求めて移籍しています。戦争勃発後、数百人が移籍しているといいますから、とんでもない数字です。

以下の記事にもあるとおり、選手のコンディション維持は相当難しいと思います。しかしそれでも親善試合などではけっこういい結果を出していますので、彼らが十分準備を積んで予選にのぞむことができれば、日本にとって大きな脅威となっているのかもしれません。

現状は、悲しむべきことには違いありませんが、しかし、将来的にはシリアのサッカーにとって、プラスの意味を持つ可能性があると指摘する人も少なくありません。

昨年開催されたブラジルでのワールドカップで、1次リーグ敗退ながらも強い輝きを放ったチームといえば、ボスニア・ヘルツェゴビナです。初出場ながら、スピードとテクニック、なにより強い意思をかねそなえたこのチームの試合を3試合とも見ましたが、素晴らしいものだったと思います。

ボスニア・ヘルツェゴビナもまた、かつてはシリア同様、国内のほとんどの選手が戦争のため、国外に流出しました。また、難民となった人も大勢います。ところが内戦から20年以上が経ち、代表には同じ国籍を持つとはいえ、世界の様々な国から選手たち(かつての難民の2世たち)が集うことになったのです。その結果、これまでのボスニア・ヘルツェゴビナにはなかったような特徴を持つ国際色豊かな代表チームが誕生することになったそうです。

過酷な時代を耐え抜いているシリアでも、将来世界を魅了するような代表チームが誕生することになるかもしれません。

元記事

السومة ومحترفو أوروبا ضمن أولويات الإبراهيم في منتخب سورية | syrian soccer :: موقع الكرة السورية

syrian-soccer.com

2015年2月18日

シリア代表 イブラーヒーム監督はアルスーマと欧州組を優先

ファジル・イブラーヒーム監督(http://old.syrian-soccer.com/?page=show_det&select_page=6&id=7279より)

サッカーのシリア代表のファジル・イブラーヒーム監督は、彼の構想の中にはサウジアラビアのアハリーのスター選手、ウマル・アルスーマが入っており、今年6月に始まるワールドカップ予選にアルスーマを招集するつもりだ、と話した。

シリアのニュース局の番組「ワン・ゴール」で、イブラーヒーム監督は、チームに貢献し、明確にチームに役立つものを持っている選手は誰でも招集する、と語った。

ヨーロッパでプロとしてプレーしている選手に関して、イブラーヒーム監督は、ヨーロッパのプロリーグで5人プレーしているが、彼らは代表に加わることに同意している。また、選手登録を効率よく行うため、チーム代表のファーディー・ダッバース氏に対し、監督が招集を希望している欧州組の選手リストを送る予定だという。

またイブラーヒーム監督は、代表は若い選手だけでなく、年齢にかかわらずチームに貢献する準備ができ、戦術的、フィジカル的にすぐれたすべての選手によって構成される、と述べた。

シリア国外でプレーする選手不在で、現在行っているトレーニングキャンプのねらいについて、イブラーヒーム監督はこう述べている。「キャンプはシリア国内でプレーする選手の能力維持と代表に参加する機会を与えるために行っています。キャンプに招集された多くの選手たちは、将来代表チームの中で大きな役割を担うに値する卓越したレベルを持っています。ただし、彼らには才能を磨くためにさらなる努力が求められているのですが」

その上で、監督は、サッカー連盟は、選手たちがレベルの維持の向上を図るためFIFAが定める国際マッチデーで親善試合を行うため尽力するだろうと、付け加えた。

イブラーヒーム監督は、ワールドカップ予選に向けたチームの準備の障害となっている問題について、次にように語った。

「シリアの選手のほとんどは、国外でプロ選手化しました。われわれは彼らをチームに加えることができず、FIFAの国際マッチデーでさえ、今日になってもまだ、予選前の国際親善試合を組むことができていないんです。連盟は、アラブとアジアの多くのサッカー連盟に試合開催を要請するレターを送っているんですが」

また監督はこうも付け加えた。「国内組についていうと、彼らのほとんどはリーグ戦が中断して以降トレーニングをすることができないでいる。その結果選手はフィジカル面で問題を抱えており、けがや体重増加に悩まされている。われわれは今後、この問題に対処していることになります」

チームは、今年6月初旬から始まるワールドカップ出場権をかけたアジア第2次予選に参加する。シリアは予選出場チームの第4ランクに入っている。第2次予選には40チームが参加、これを8グループに分けられる。アジアサッカー連盟によって今年4月、2015年6月11日から始まる予選の組み分け抽選が行われることになっている。予選はホーム&アウェー方式で行われ、8グループの各組1位と、2位チームのうち上位4チーム、合計12チームが最終予選に進む。

最終予選では12チームを2グループに分け、各組の1、2位が2018年にロシアで開催される本大会の出場権を獲得する。各組3位チームどうしが対戦し、勝者が南米チームとのホーム&アウェー方式での大陸間プレーオフに進む。

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