サッカーの試合で民族暴動起こる

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(写真:http://archive.aawsat.com/details.asp?section=4&article=223444&issueno=9240#.VO_tFii8wU6より)

「人道的措置」で2003/2004年シーズンに1部昇格を果たしたジハードでしたが、シーズン中、政治的な混乱に巻き込まれてしまいました。

ホームのカーミシュリーでフトゥーワというデリゾールのチームを迎えた試合で、サポーターどうしが衝突、これに治安部隊が力で対応したことから、一気に民族暴動に発展したのです。ジハードのホームであるカーミシュリー市というところは、クルド人の町です。

シリア政府は、トルコやイラク、イランに比べると、クルド人に対してはソフトな対応をして、平和的な関係を築いていると見る人もいました。確かに、それまでは民族問題で衝突する事件は聞きませんでしたが、それは良好な関係というより、衝突が発生しないほど、押さえ込んでいると捉えるほうが正確だったと思います。

ですので、この暴動はシリアでは非常にめずらしい事態だとして、国内外で注目を集めました。

以下の記事は、この2004年の「カーミシュリーの春」と呼ばれた事件を扱った「シャルク・アウサト」(中東という意味)の記事です。この新聞は確かサウジアラビア資本だったと思います。今日から見ると考えられないことですが、報道のスタンスは、完全にシリア政府寄りです。

元記事

قوى الأمن السورية تنفذ عمليات توقيف وتفرض سيطرتها على مدينة القامشلي, أخبــــــار

シャルク・アウサト 2004年3月16日

シリア治安部隊、一斉検挙行う

カーミシュリー市を制圧

ダマスカスーロンドン アッシャルクルアウサト、ワルズーク・アルガーウィー

この2日間にわたって騒乱と暴力の舞台となったカーミシュリー市とシリアの他の地域を、警戒と緊張、そして不安とがないまぜとなった平穏な状況が支配している。これらの地域では、治安維持部隊が事態を制圧。一方、一斉検挙が行われ、その後検挙者のうち高齢者が釈放されたというニュースがくり返されている。さらに、事態を最終的に収拾するための努力が続けられている。

ロンドンで、「シャルク・アウサト」紙は「西クルディスタン政府準備委員会」を名乗る組織が発表した声明を受け取った。同団体は声明で、「西クルディスタンを植民地化する」シリア政府のクルド人に対する処遇を非難している。国際社会とりわけアメリカとEUに対し、クルド人側の立場に立つことを要請している。

イラクのクルド人地域であるスレイマニアでは昨日、すでにシリアのクルド人と連帯するため、クルド人学生1000人以上が参加するデモが行われていた。また、AFPの特派員は、デモ隊は「シリアのクルド人に対する迫害をやめろ」とするプラカードを掲げたと報道、さらに、最近カーミシュリー市で起こった事件を非難するプラカードも掲げられたという。

ダマスカスでは、非合法の進歩クルド民主党のアブドゥル・ハミード・ダルウィーシュ書記長が昨日、AFPの取材に答えた。同書記長は、カーミシュリー市で開催されたサッカーの試合に先立って発生した騒乱は土曜と日曜の2日間続き、その中でクルド人19人が殺害され、150人以上が負傷、負傷者の中には治安機関の2人が含まれる、と述べた。

他方、活動家のひとり、ハリール・マアトゥーク弁護士は、事態の沈静化に関して、市民の信頼を受けた真相究明委員会の設置、事態の扱いについて熟考を要することなどの必要性を強調し、国の一体性に亀裂をうみ出すことを防ぐこと、外国の介入は絶対容認できない。国の不安定化で利益を得る勢力が存在することに留意し、この問題は対話を通じて国内で解決しなければならない、と述べた。

また、マアトゥーク弁護士は、国の秩序を乱すいかなる行為も断罪する一方、政府に対し、カーミシュリー市の事件の責任者をすみやかに司法の手にゆだねること、市民の間の反目しあうこの問題を強硬な手段でうったえ扱うことのないようを要求した。

さらに、マアトゥーク弁護士は、(今回の騒乱の中で)アメリカの国旗を掲げたり、外国人勢力に加担するような行為に対し、強い嫌悪感を表すとともに、アメリカ国旗を掲げ、シリア国旗を燃やし、行政機関、商店、自動車を焼き打ちした人物すべてを司法の手にゆだね、裁判にかけ罰をくだす必要性を強調した。その上で、あえて今回のような行為を行った人たちは、尊厳を欠いた連中だ、と話した。

これとは別の動きとして、ラッカ県在住のアラブ人、クルド人の著名人からなるグループは、シリアのいくつかの地域で展開されている事態、とりわけカーミシュリー市で発生した事件に関する面談と意見交換を呼びかけた。それは国民の団結の強化を目的としたものである。

この著名人グループでは、発表した声明の中で、今回の殺人、放火、破壊、攻撃の発生に関して、全員一致で非難する見解で一致している。またこれらの事件は、騒乱の挑発行為と見なし、その芽を摘み取ることの必要性を強調している。同時に声明は、いかなる方向性を持つものであれ、クルド人が国家の結びつきと一体性を熱望していることも強調している。声明は、対話と面談を以下の団体の署名とともに呼びかけている。

民主愛国集団、シリアクルド統一党、市民社会再生委員会、クルドヤキーティー党、シリア人権協会、クルド国民連合党、シリアクルド民主党、シリア民主党(バールティー)、ラッカ県クルド進歩民主党。

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