(写真:http://www.kooora.com/?n=375892より)
今世紀最悪の戦争と言われるシリア。今年3月で5年目を迎えていますが、なんと国内では毎年国内リーグが開催され続けているというから、驚きです。
今年1月にオーストラリアで行われたアジアカップも、人びとは相当熱狂したようです。シリア代表自体、本戦には進出できなかったにもかかわらずに、です。
日本では日本代表が早々に敗退してしまったせいで、ほとんど話題になることはなかったことと比べると、かれらのサッカー好きの度合いの強さがよくわかります。
以下の記事は大会開幕直前、ワクワクしながら大会を楽しみにしている彼らの姿を紹介した記事です。
元記事 الجماهير السورية تتحسر لغياب منتخبها و تساند العراق في كأس آسيا
kooora.com 2015年1月9日
アジアカップ開幕
予選敗退のシリアのサッカーファンはイラクに声援
シリア:アブドゥル・バーシト・ナジャール
シリアにおける極度の危機的状況が4年目に入り、また暴風雪による度重なる大寒波の襲来にかかわらず、シリアのサッカーファンはオーストラリアで今日開幕するアジアカップの試合を心待ちにしている。
シリア人のもつサッカーの情熱がどれほどのものかを説明することは不可能だ。彼らはシリア代表が期待を裏切りアジアカップの予選で敗退し、本大会出場を逃したことをに落胆している。しかし、黄色い大陸(サッカールーズの大陸)で始まるもっとも重要でもっとも強力な大会開催の何時間も前から、(ダマスカスの)カフェや豪華ホテルでは本大会参加各国の旗を掲示し始めた。
また、ほとんどのそれらのカフェやホテルでは中国やパレスチナの国旗とともにイラクの国旗を掲示することで(人びとの視線を)引きつけている。
元国際的なプレーヤーであるサアド・サアドさんは次のように言う:
シリア人としてわれわれはアラブ諸国の活躍を期待しています。彼らには、この大会で優勝を目標とする強豪チームとの大きなたたかいが待っています。
強豪チームは何か月も前から計画的に、戦術面、フィジカル面、そして精神面で完璧な状態になるよう準備を進めています。彼らは大会にはピークの状態で入ってきます。具体的には日本と韓国です。一方オーストラリアは、自国のファンの前で、タイトルを獲ることを求められています。
残念ながら、われわれアラブのチームのほとんどは、理想的な形での準備はできませんでした。それにもかかわらず、われわれはイラクが、決勝トーナメントに進出することに楽観的です。
シリアは出場しませんが、この大会をたのしみにしていますし、試合をずっと見続けていくことになると思います。われわれの現在の苦境や危機を少しでも忘れるためにもね。実際サッカーは、人びとの気持ちを一つにしてくれるし、民衆に無限のエネルギーを与えてくれるものですから。
ダリブの慈善団体連盟の運営委員長ジャマール・シャイクさんは、次のように言う:
われわれが負った傷や苦境にもかかわらず、われわれは大会をたのしみにしており、試合にも注目していくことでしょう。というのもわれわれはサッカー中毒なんです。これはわれわれシリア人にとって目新しいことではありません。
また、大会が主要メディアや大勢の人びとの関心を集めることは間違いありません。優勝候補の筆頭に上げられているオーストラリアの試合はとくにね。わたし個人としては、大会ではスター選手やベテラン選手のいるイラクがダークホースになると予想しています。イラクは予選リーグで敗退するだろうと言われているようですが、わたしは突破するだろうと思っています。
またパレスチナ代表は(今回本大会に)出場すること自体、たいへんな成功だといっていいと思います。パレスチナはグループリーグの他のチームとは、戦術、フィジカル、心理的な面での実力の差があり、勝ち点ゼロで終わると予想されているようですがね。
ジャマールさんは続けてこう言う:
われわれは同胞であるアラブの何チームかが決勝トーナメントに進出することを期待しています。ただし、日本、韓国、オーストラリアが(われわれとの)経験の差によって優勝を争うことになることは認めざるを得ませんね。これらのチームの中心選手は全員、ヨーロッパの主要リーグの世界的なビッグクラブでプレイしているんですから。
また、アレッポ教員組合広報担当のディヤー・クルーディーさんは次のように強調する。:
わたしはイラク代表を応援しています。イラクはおそらく準決勝まで勝ち進むんじゃないでしょうか。代表チームとしての準備期間を十分取ることができていませんが、このチームには経験豊富な選手たちがいます。その筆頭がユーニス・マフムードですね。かれはチームに自信と誇りをもたらすでしょう。とりわけ今度の月曜日に行われるヨルダンとの初戦においてはね。
クルーディーさんはさらにこう付け加える。:
日曜日に行われるサウジアラビア代表にとっての初戦となる中国戦は、サウジが決勝トーナメントに進出できるかどうかのカギとなる試合だ思います。シリア代表(カシオン山の鷲)は予選で敗退してしまったのでこの大会には出場しませんが、われわれは大会を注視していくことは間違いありません。
アレッポを本拠とするクラブ、イッティハードの広報委員会のイブラーヒーム・カヒールさんは、こう言う。:
われわれはシリア代表がオーストラリアにいることを望んでいました。シリアはそれに値するだけの力のあるチームです。しかし、シリアサッカー連盟の運営面、実務面の不安定さと、科学的、活動的、それにプロ意識の面において計画性をもって事に当たる人材の欠如により、本大会に出場することができませんでした。
とはいえ、熱く、エキサイティングになると思われる大会をわれわれは楽しみにしています。大会に出場するいくつかのチームはタイトルを狙っています。UAE、サウジアラビア、カタールも狙っています。
一方、日本、韓国、オーストラリアの3チームは安定した力を発揮し、準決勝に進出するでしょう。ほとんどのシリア人はイラク代表を応援すると思います。みんなイラクのことをよく知っていますし、距離的にも近いこともありますが、イラクの国内リーグでは20人以上のシリア人選手が在籍していることもその理由ですね。
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