また見出しに騙された

このブログでは、インターネット上のアラビア語メディアに掲載されたサッカーに関する記事を通して、現地社会や人々の暮らしの様子を紹介することを目的としています。

苦労する点の大半は、もちろん、私のアラビア語読解能力の不十分さからくるものです。そうではあるのですが、アラビア語記事の独特の特徴にもときに泣かされています。

どの記事を翻訳しようか、実力のある人なら、記事の見出しを見ておもしろうそうなやつに目を付け、本文をざっと読んで判断することができるでしょう。ところが、本文をざっとでも読もうとすると、それだけで、膨大な時間がかかってしまうのがぼくのリーディングレベルの現状です。

ですので、見出しだけで面白そうかどうか判断することになります。しかし、以前も書きましたが、アラビア語の記事って、本文にあまり関係なく見出しを立てることが多いんですね。見出しにサッカーに関連することが書かれてあるのでひかれて読んではみたものの、結局最後までほとんどサッカーの話が出てこない。読者の関心を集めるためだけに、「サッカー」という文字を潜り込ませているのではないかと思うこともあります。

今回以下に紹介する記事もその類の一つ。「サッカーも活用 イスラム国、ヨルダンの若者を勧誘」というから、ヨルダンのトップリーグの選手たちに、イスラム国の勧誘の手が及んでいるといった内容かなと思って読み進めたところ、結局最後の1行まできてもサッカーと無関係な記事でした。まんまといっぱい食わされました。それも記事のネタ元はアメリカの新聞記事だというので、なんか二重に騙された気分です。

しかし、今までこのブログにヨルダンに関する記事を載せることができていませんので、掲載することにします。

見出しに騙されないようになれば、ぼくのアラビア語能力も相当程度上がったと言えるかもしれません。


元記事URL:

من خلال مباريات كرة القدم…داعش يجند الشباب الأردني

サッカーも活用 イスラム国、ヨルダンの若者を勧誘
米紙報道

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(写真 http://www.alalam.ir/news/1850769 より)

「ウォールストリートジャーナル」はアメリカとヨルダンの当局者の話として、ヨルダンは国内の過激主義を抑え込むための強力で独創的な計画を進めることに失敗した、と報じた。国内の過激主義の存在に注意を促すべきだとヨルダン政府を批判した、今年6月に作成されたアメリカ国務省の報告書にも言及している。

同紙は、イスラム国の戦闘員の勧誘活動をしている一人、戦闘員名「アブー・ウタイバ」のインタビュー記事を掲載している。アブー・ウタイバによると、

「最近モスクでの若者たちの勧誘はきわめて危険を伴う状態になっている。というのもモスクには諜報機関のメンバーが張り込んでいるからだ。したがって、われわれは、勧誘する若者を農村などに連れて行き、討論会を開いたり、若者たちを引きつけるため、サッカーの試合を行ったりしている」という。

同紙は、アブー・ウタイバのこの発言は、

「最近かつてなく公然とイスラム国(ダーイシュ)への支持を表明始めているヨルダン人過激派集団による新たな試みである」とみている。

シリアとイラクには2500人のヨルダン人戦闘員がおり、その大半がイスラム国の戦列に加わっているとみられている。スーファーンという専門団体(訳注=アメリカにより設立された対テロ組織)によると、この数によりヨルダンは、ランク2に位置付けられている(訳注=世界のテロリスト供給国ランキングの2位といった意味だと思います)。

ヨーロッパの複数の当局者によると、イスラム国にとってモスクはもはやかつてのように戦闘員勧誘活動において理想的な場所ではないという。若者たちはイスラム国の拡大のための宣伝活動を、大学や学生寮、スポーツクラブのほか、若者が集まる特有の場所に分散させて行っている。さらに付言して、勧誘の危険にさらされている大多数は、鬱屈した状態でさいなまれている若者たちだという。2015年のILOレポートによると、30歳以下の若者の30%が失業している。

アンマンの複数のヨーローッパの当局者は、ヨルダン当局者が様々な特別な会議を開催して採択している過激主義に対する解決策というものは、「ファンタジー」だと話す。たとえばそれは、アブドゥッラー国王が数々の演説での言葉のようなものである。また、イスラム国が関係する最近の(訳注=ヨルダン国内での)攻撃に関する政府に情報統制は、過激主義者たちはイスラム国の主張を拡散するためにインターネットを活用している時代において、時代遅れの対応と言わざるを得ない、と話している。

ヨルダンの複数の当局者は同紙に対し、「われわれは最大限努力しているが、それを実行するために必要な財源を欠いている」と話している。アメリカは、ヨルダンに対し、軍事及び経済支援のため少なくとも10億ドルを、これとは別に、治安強化のために最近設立された、テロとのたたかいのための共同基金から6億ドルをそれぞれ供与する予定である。

(このことについて)宗教省「アルアウカーフ」のアブドゥルマヌアム・ハヤーリー事務長はこう話している。

「いかなるイデオロギーであろうと、われわれはイデオロギーをもって対応しなければならない。われわれはそれを試みている。国際社会に対し、これらの資金をわれわれの支援のために供与されることを期待している」

「ウォールストリートジャーナル」は、イスラム国との権威と影響力に直面するヨルダン政府の立てた諸計画を知ったとき、アブー・ウタイバがこれを笑い飛ばしたという反応を伝え、記事をしめくくっている。

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