2011年から続くシリアでの戦争は、政府軍が反体制派の大半の拠点を奪還するなど、軍事的には圧倒的に体制側が優勢に転じています。数年前から戦況は劇的に転換しています。それにともないサッカーの国内リーグも多くの地域で開催されるようになり、しかも大勢の観客のもとシリア各地でゲームが行われている様子が、報道されています。
治安状況は、まだまだ不安定な様子はあるにしろ、全体を見れば好転しつつあるようです。
その結果、FIFAによる国内での国際試合開催禁止措置も、解除に向けて動きつつあるとのことです。今回紹介する記事を読んでも、措置解除の可能性がどの程度のものか、解除時期がいつ頃なのか、具体的なことはわかりません。
ただし、治安はひところに比べて好転しているとはいえ、国内にはイスラーム過激派や「イスラーム国」などの武装勢力が支配する地域が今もあり、ときおり政権側支配地域に攻撃をかけている状況です。仮に解除されるにしても、今年3月にやはり長年の禁止措置が解除されたイラクのように、ダマスカスやラタキアなどごく限定的な地域にとどまるのではないかと思います。
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国際試合禁止解除に向け準備進むシリア
掲載紙:アーラム
掲載日:2018年9月27日
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(小見出しは訳者によるもの)
シリアのスポーツ界やサッカーファンたちは、国内のスタジアムでの国際試合禁止措置解除を今か今かと待ち続けている。解除されれば、代表チームはホームで、そしてファンの前で試合をすることができるようになり、それは選手たちのパフォーマンスや結果に肯定的な結果をもたらすことになる。
ダマスカス、ラタキアなどを調査予定
このことについて、シリアスポーツ連盟会長のムワッファク・ジュムア少将は、連盟が禁止措置解除を管轄するFIFAの委員会を受け入れる準備を行っていることを明らかにし、次のように述べている。
「われわれは現在、ラタキア(*北西部の地中海沿いの都市)のスポーツセンター・スタジアムとアレッポ(*北部の都市)のハムサターシュアルフ・スタジアムで委員会の受け入れ準備を行っています。また、ダマスカスのティシュリーンとファイハーの両スタジアム、ホムス(*中部の都市)のハーリドブンワリード・スタジアムでも準備を進めています」
一方、ダマスカスのアッバーシーン・スタジアムに関して、ジュムア少将は、次のように話している。
「同スタジアムをかつてのようなスポーツ施設として再建することの経済的価値について、技術面、費用面での検討を始めたところです」
ジュムア少将は、国際サッカー連盟(FIFA)の専門家チームの一人が先週、同スタジアムを訪れ調査し、現状を確認していることも明らかにした。調査は、サッカースタジアム整備のための援助計画の一環。過去数年の過酷な戦争下にあるにもかかわらず、シリア代表がすばらしい準備を行い、世界ランキングでもよい結果を残していることを受けたものだ。
スポーツ連盟会長は、現在のわれわれの関心事が2019年に行われるサッカーのアジアカップに向けて準備を進める代表チームにあるとし、次のように話す。
「われわれはドイツ人監督ベルント・シュタンゲのもとでのチームのパフォーマンスや準備状況について満足しています。アジアカップでは1次リーグを突破して、ベスト4までに進むことを期待しています」
また、インドネシアで行われたアジア大会では、サッカーのシリアオリンピック代表チームがベスト8にまで勝ち進み、目標を達成したことにも触れた。
国際的な報道にも期待
ただし、閉幕したアジア大会でのシリアの各競技の代表チーム(選手)に関して、ジュムア少将は、大志に欠けるもので、満足のいくものではなかったとし、次のように話している。
「われわれは現在、大会での結果を受け、技術面、準備面での各競技団体の連盟による総括を行っているところです。なお参考までに言いますと、各競技の代表チーム(選手)の大半は、テストマッチを組むことが困難だったことなどあり、十分な準備をすることができませんでした」
そして、ジュムア少将は、スポーツの世界ではメディアは基本的に自分たちとはパートナーであることを強調、シリアのスポーツとその競技に光をあてる国際的なメディアの多様な会合を招致する準備があることを明らかにしたうえで、こう話した。
「われわれは現在、スポーツ連盟や、クラブ、各競技団体の利益になるよう取り組みを行っています」
コメント
[…] イラクに続きシリアでも国際試合解禁かより […]
[…] す、ところが、確か2018年にもFIFAの担当者がシリアを訪問していたはずですが、あれはなんだったのか(イラクに続きシリアでも国際試合解禁か – 中東 フットボールと人びと)。 […]