「革命支持」表明したシリア主力選手

今回紹介するのは、シリアの反政府系メディア「イナブ・バラディー」が2015年10月25日付けで配信した、シリア国外で活躍する選手たちの紹介記事です(تعرف على 4 من أبرز اللاعبين السوريين المحترفين خارج سوريا – عنب بلدي)。

2011年にはじまった戦争により、大勢のシリアの選手たちは、国外にプレーの場を求め、移籍してしまいました。代表クラスの選手の大半は「国外組」という状況です。といっても日本と違い、移籍先は、湾岸諸国のクラブチームであることが多いようです。

今回の記事で紹介されている4選手はシリアあるいは少なくとも中東地域では有名で、人気も高い選手のようですが、うち3人は反体制派支持を明言し、代表でのプレーを拒否することも表明しています。

ただし、この記事は2年前のもので、「革命支持」を表明した3人のうち、フィラース・ハティーブ選手は2017年3月のワールドカップアジア最終予選から代表に復帰し、所属も2017/18シーズンは、クウェートからシリア国内のクラブに移籍するなど、状況はかなり変わってきています。

シリアサッカー史上最高のストライカーとして国際的にも知られ、このブログでも何度か取り上げているオマル・スーマ選手は相変わらずサウジリーグで得点を量産し続けています。おそらく今がサッカー選手としてのキャリアのピークを迎えていると思われますが、今も代表には復帰していません。というか、この記事によると、彼は治安機関の手配リストに載っているとのことなので、したくてもできないというのが現実でしょうか。

ただし、過去何度もサウジ国籍取得の噂が流れていたものの、実際には取得に至っていませんので、シリア代表復帰の芽はまだあるのかもしれません。


元記事URL https://www.enabbaladi.net/archives/49830

シリア国外で活躍する有力4選手

 

掲載紙:イナブ・バラディー
掲載日:2015年10月25日配信

(文中✴︎は訳注 小見出しは訳者によるもの)

FIFAの週間ベストイレブンに選ばれたオマル・スーマ  (https://www.enabbaladi.net/archives/49830より)

シリアのスター選手たちが、世界の広いサッカーシーンに打って出ている。アッバーシーン(✴︎シリア国内のスタジアム名。ダマスカス)やハーリド・ブン・ワリード(✴︎同。ホムス)、ハマ(✴︎同。ハマ)、ハムダーニーヤ(✴︎同。アレッポ)、デイル(✴︎同。デリゾール)そしてカーミシュリー(✴︎同。カーミシュリー)で応援してきたファンたちは、彼らの活躍に希望を託している。これら選手たちは、自らの名前を人びとの心に刻んだ。また彼らは、ピッチ内でのプレーだけでなく、人格の高さでもファンたちに知られている。

オマル・スーマ:優勝を決め「革命旗」掲げる

サウジアラビアのアル=アハリーでプレーするFWオマル・スーマは、今週行われたサウジリーグのナスル戦で活躍し、FIFAの週間ベストイレブン(✴︎原文は「FIFAの週間フォーメーション」。日本的にいうと週間ベストイレブンといった意味ではないかと判断)に選出された。この試合でスーマは前半だけでハットトリックを達成した。ベストイレブンにはスーマとともに、ネイマールやイブラヒモビッチ、マルセロが名を連ねている。

スーマは、サウジリーグで各チームを圧倒し、いくつもの記録を更新した。同リーグ最高の選手と評され、比類なきまでにファンたちに愛されている。また、ファンからは、ミサイルのような脚を持つ「危険人物」(✴︎あんまりうれしいあだ名ではないけど)、サッカー界の太陽などと呼ばれている。

スーマは、シリアのデリゾールのクラブ「ファトワ」出身のFWで、現在は、サウジアラビアのクラブに所属している。シリアではその才能が開花しなかったが、国外で花開いた。昨シーズン(2014/15年)、22ゴールをあげサウジプロリーグの得点王となった。

《スーマの帰化はファンの願いだ》というハッシュタグは、SNSを通じてサウジのファンたちが、サウジ代表に加わってもらうためスーマの帰化を切望していることの表れだ。

スーマは、シリア代表の試合で革命旗を掲げた初めての選手である。クウェートで行われた第7回西アジア選手権(✴︎2012年)でシリアが優勝したときのことだった。スーマは優勝を自由シリア軍に捧げたのだ。このことで、彼は、アサド政権を支持する選手やチームスタッフたちからの攻撃に身をさらされることになった。

「ユーロスポーツ」の複数の記者は、オマル・スーマが、シリアの治安機関の手配犯リスト737764番として、両親とともにリストアップされていることを暴露している。

スーマの代理人が明らかにしたところ、UAE、カタール、サウジアラビの湾岸3か国がスーマに対し帰化受け入れの申し出をしているが、サウジからの申し出を優先しているという。

フィラース・ハティーブ:自国民を砲撃する政権を批判

ホムスのクラブ「カラーマ」の出身。シリア国内のいくつかのクラブでプレーし、リーグの最優秀選手に数回選ばれた。クウェートリーグの「アラビー」で得点王のタイトルを取ったが、それ以前のカラーマ時代から彼の才能は開花していた。

クウェートでは、通算211ゴールをあげた史上初のストライカーとなるなどクウェート記録を塗り替えた。高いテクニックを持ち、シリア人たちの希望をになった。ハティーブは代表では、切り札として使われた。

ハティーブは、いくつもアラブの国のクラブでFWとして活躍した。クウェートのカーディシーヤ、カタールのウンム・サラール、中国の上海上港、サウジのナスル、イラクのザーホー、そしてトルコのナスルでもプレーした。

ハティーブは、2011年のシリア革命が始まって以来、革命への支持を表明、どこであろうとシリアの町や村への砲撃がなされている限り、代表チームでプレーすることを拒否している。

ジハード・フセイン:「革命」支援の大会に参加

温和で洗練されたゲームメーカー。(✴︎2006年の)アジア・チャンピオンズリーグでカラーマが準優勝したときのメンバーの一人。カラーマ時代から頭角を現し、アジアカップなどでも代表として活躍した。また、フィラース・ハティーブの「不可欠な同僚」でもあった。

ジハードは、サウジリーグの「タアウーン」で奮闘している。今シーズン最高の選手の一人と評されている。昨シーズン、アシスト9点でサウジリーグの最優秀ゲームメーカー賞を受賞した。

サウジリーグで2237分もの間、1枚もイエローカードをもらわなかった、同リーグの10選手のうちの一人。

ジハード・フセインは、シリアのカラーマでプレーした後、UAEの「ダビ」、クウェートの「アル=クウェート」と「ガーディシーヤ」、サウジの「ナジュラーン」に移籍、現在はサウジの「タアウーン」に所属している。

ジハードはシリア革命への支持を表明、最近は、シリア政府に追随する代表チームでのプレーを拒否している。また、サウジアラビアで開催されたシリア革命を支援する大会の一つにも参加している。

サンハーリブ・マルキー:ヨーロッパのアラブ最高選手

シリアの有力選手サンハーリブ・マルキーは、カーミシュリー市生まれ。ヨーローパのリーグでプレーする最高のアラブ人選手の一人。ヨーローパでのプロ選手としての13年間で135ゴールをあげた。これはアルジェリアのラフィーク・ジュブールの119ゴール、モロッコのムニール・ハムダーウィーの117ゴール、エジプトのムハンマド・ジダン111ゴールをしのぐ記録である。

シリアの大勢のファンたちは、代表のユニホームを着たマルキーをピッチの中で目にすること待ち望んでいる。

マルキーの才能はヨーロッパで開花した。プロ選手としてのキャリアをベルギーの「ロイヤル・ユニオン」でスタートさせ、その後、同じベルギーの「ルーセラール」、「ジュルミナール・ベールスホット」、「ロケリーン」に移籍したあと、ギリシアの「オリンピヤコス」にレンタル移籍した。

さらにその後、オランダ・エールディビジの「ローダ」に移籍、2012年のリーグ得点ランキングで2位を獲得した。

現在は3年契約年俸150万ユーロでトルコの「カシムパシャ」と契約している。また、ワールドカップとアジアカップ出場権を兼ねた予選には、シリア代表として出場している。

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