奴隷制度とワールドカップ

今回紹介する記事は、2年ほど前の記事。わたしの記憶では日本ではほとんど話題になっていなかったかと思いますが、2022年のW杯を開催予定のカタールの建設現場では、驚くべきことが起こっているようです(現在は多少改善しているのか)。

カタールの人口は520万人。うち外国人が310万人もいるそうです。つまり人口の半分以上が外国人(ネパール人、インド人など南アジア系が多い)で、彼らの大半は労働力として入国しています。そのため全人口の中で男性が75%以上も占めるといういびつな状況が生まれているそうです。

灼熱の屋外で肉体労働に従事しているのは大半が外国人ということになっているわけですが、紹介した記事では、彼らの労働環境は、「現代の奴隷制だ」という批判を受けています。

これがたとえばイランや北朝鮮での話だとしたら、国際的な大問題となっていることでしょう。

日本語訳を読んでいただけるとおわかりの通り、ほとんどがイギリスの新聞ガーディアンからの引用で構成されているような記事です。わざわざアラビア語で読まなくても英語で、さらに詳細な情報を得ることができます。アラビア語紙には調査報道というのがあるのかな。

ガーディアンの記事 Qatar World Cup construction ‘will leave 4,000 migrant workers dead’ | Global development | The Guardian


元記事URL:

قطر “تستعبد” العمال من أجل كأس العالم | نون بوست

カタール ワールドカップ準備の労働者は「奴隷」

2013年9月23日
ヌーンポストネット

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(写真=http://www.noonpost.net/content/606 より)

その衝撃的なレポートにおいて、イギリスの「ガーディアン」紙は、2022年ワールドカップの準備のための特別な建設工事現場で働いているネパール人に対して、カタール政府がとっている政策を非難した。

同紙によると、2022年のワールドカップ開催の準備のための工事の最中、最近数週間でネパール人労働者数十人がカタールで命を落とし、数千人が重大な人権侵害を被っているという。

ドーハとネパールの首都カトマンズで取材をした同紙のピート・パッティンソン記者によるそのレポートは、高温になる夏季の作業中、ネパール人労働者は1日に一人の割合で死亡、その多くは突然の心臓発作によるものだったことを明らかにした。また、カタールの労働者で最大グループを占める数千ものネパール人が、虐待と侮蔑にさらされている実態についても明らかにし、それはILOの基準で定める現代の奴隷制レベルに達しているという。

また、レポートは「今年6月4日から10月8日までの間で、少なくともネパール人労働者44人が亡くなった。その半分以上が心臓発作によるものだった」と付け加えている。同紙がドーハのネパール大使館から入手した文書による。

ガーディアンの記事では、いくつかの試算によると、カタールは2022年のワールドカップのためのインフラ整備のために1000億ドルを投じることになっている。その中には9つの新しいスタジアム建設、200億ドルをかけた新たな交通網建設、90億ドルをかけたカタールとバーレーンを結ぶ橋の建設、240億ドルをかけた高速鉄道建設、そして訪れるサポーターたちを収容する5万5000部屋のホテルの建設が含まれているとのことだ。

ガーディアンによると、2022年ワールドカップのためのインフラ整備の建設工事において、強制労働が行われていることを示す証拠もあったという。また、ネパール人労働者の話として、会社側は彼らに対し数か月にわたって給料を支払わず、労働を強制していることも報じている。会社が労働者の逃亡防止のために2か月間給料を保管、さらに労働者を雇い入れた会社(訳注:現地の派遣元の会社という意味か)により、パスポートも取り上げられ、IDカードの発行も拒否されている。その結果、労働者たちは不法滞在の移民のような状態におかれているという。

さらに同紙は、複数のネパール人労働者の証言として、労働者たちが、砂漠の暑さの中、無料で飲料水を入手することもできないでいることを強調している。また、すでに労働者約30人が過酷な労働環境から抜け出すため、ドーハのネパール大使館に駆け込んでいることを確認している。さらに、カタールの建築・建設業の労働者は、嫌悪をもよおすような住居をあてがわれ、1部屋に平均12人が入れられている。報酬なしで労働を強制され、食べ物を得るために物乞いをせざるをないものもいると言っている労働者もいる。

2022年ワールドカップ組織上級委員会のレポートによると、同委員会は、「虐待の申し立てを受け、特定の建築・建設業者に対し懸念を抱いている。この問題は広範囲にわたる重大性をはらんでいるとみなしている。申し立てに関する調査について政府の関連機関に申し送った」と述べている。

一方、カタールの労働省は、省としては、高い気温での労働に関する取り決め(訳注:カタールなど湾岸諸国では気温が一定以上の高さになると屋外での労働を禁止するなどのルールがあるそうです。おそらくこのことについて言っているのだと思います)や、労働条件の保証、賃金の即時時払いなどの厳格なルールに従っており、労働者が適切な時期に報酬を受け取ることを保証するため、定期的な調査活動によりこれらのルールが守られているか監視している、と述べている。そして、違反企業に対しては罰金を課し、また、違反企業の司法機関への引き渡しも行っているとも述べている。

反奴隷制度国際団体のイーディーン・マークウィード代表はメディアに対し、ガーディアンが暴露した事実は、カタールにおいて強制労働が組織的に行われていることを明確に示す証拠であると述べた。そして、抑圧された労働者たちの驚くようなこれらの死の数々は、強制労働という範疇からも逸脱し、人間をモノとして取引していた大昔の奴隷制度の水準にある、と言っている。

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