カタールを応援していたのはだれ? アジアカップ決勝

ご存じの通り、UAEで開催されたアジアカップはカタールの初優勝で幕を閉じました。決勝で敗れた日本は残念でしたが、カタールは優勝にふさわしい試合をしていたと思います。今回紹介するのは、大会でカタール代表に声援を送り続けたオマーン人に関するもの。

決勝戦の前、当日スタジアムの観客の多くは日本を応援することになるので、日本にとってやりやすい雰囲気となるだろうという報道がありました(カタール代表、準決勝4―0大勝の裏に隠された「3つの弱点」森保ジャパンは勝てる! (スポーツ報知) – Yahoo!ニュース)。カタールは現在、UAEやサウジアラビアなどと国交を断絶しており、カタール人はUAEに入国できない状況です。なので、決勝戦なのに、会場にはカタールサポーターは一人もおらず、UAEの人びとはみんな日本を応援するかのように言われていたのです(準決勝でカタールに苦渋をなめさせられたことでもあるし)。

ところが、試合が始まってテレビ中継を見ると、様子がどうもおかしい。カタールのサポーターがいないどころか、むしろ日本への声援より大きいのではないかと思えるくらい、カタール代表に声援を送る観客がいたことに、驚かされました。

決勝戦だから、いろんな国籍の観客がおり、アジアカップ優勝4回の日本より、ここは快進撃を続けるカタールを応援しようと考えた人もいたと思われますが、カタール代表応援の中心となっていたのは、UAEの隣国オマーンから来た人たちだったようです。

これについて、カタール人は現地に入ることができないので、カタール政府がオマーン人をバイトで雇ってスタジアムに向かわせたものだという噂もあるようです(アジア杯準優勝の厳しい現実 “日本らしさ”の追求は3年後に吉と出るか – スポーツナビ)。しかし、ネット上のいろんな動画を見ると、バイトで雇ったにしては規模がちょっと大きすぎるような気がします。また、今回紹介した記事にあるように、オマーン国内でもカタールの優勝を祝っているのです(しかも真夜中に)。試合当日のスタジアムだけでなく、カタール政府がそこまでしてバイトを動員する理由があるとも思われません。

残念ながら、オマーン人がカタール代表を応援する背景を、今回の記事からうかがうことはできませんでした。今後わかるような記事を見つけたら紹介したいと思います。

今回の記事で一つ、補足。本文中、優勝を決めた後、カタール代表の選手たちを乗せたバスがオマーンに向かい、そこで市民の大歓迎を受けたということについて。

はじめなんで大会を終えたカタールの選手がわざわざ陸路オマーンに寄り道したのかわからず、文脈を読み取ることができませんでした。おそらく、断交中のUAEからカタールに向かう飛行機は当然飛んでないので、いったんカタールとの国交を維持しているオマーンに陸路向かい、そこから空路カタールに向かうということなんだろうと思います。

蛇足ながら、記事を掲載したニュースサイト「アラビー・ジャディード」はロンドンに本拠を置く汎アラブメディアです。カタール資本で設立されていますので、当然オマーンサポーターのカタール代表支援も肯定的にとらえています。

(下の写真:オマーン国旗を持って優勝を喜ぶカタール代表の選手たち)
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アジアカップ成功の象徴 オマーン人サポーター

掲載紙:アラビー・ジャディード
掲載日:2019年2月2日
URLhttps://www.alaraby.co.uk/sport/2019/2/2/الجماهير-العمانية-في-أمم-آسيا-2019-أيقونة-البطولة-المميزة

(*は訳注 小見出しは訳者によるもの)

開催国との準決勝でもカタールに声援

オマーン人サポーターは誠実さと純粋さにおいてすばらしい手本を示してくれた。彼らの比類がなく、創造的なその存在はアジアカップ2019の象徴的存在の一つとなった。彼らはオマーン代表チームを応援するだけにとどまらず、大会に出場したすべてのアラブ諸国の代表チームの応援も熱心に行っていた。とくに、ウンナービー(*カタール代表の別称。ユニホームの色にちなんで「えび茶色」という意味)のすべての試合でカタールを応援していた。日本との決勝ではとりわけそうだった。

大会の準決勝、UAE対カタールの試合では、開催国の感情を考えてカタールを応援することに対して注意を促す声もあったが、オマーン人サポーターは、それに耳を傾けることはなかった。彼らはカタール代表の選手たちとともに歩む輝かしい存在だった。

それだけでなく、(*大会を終え帰国のために)カタールの選手たちの乗ったバスがソハール(*ペルシャ湾沿いのオマーンの都市)に到着したときは、選手たちを出迎えた。それはアジアチャンピオンを迎えるにふさわしい大勢の市民による大歓迎ぶりだった。

大会得点王がオマーン国旗を掲げ感きわまる

オマーン人サポーターは大会においてサポーターの象徴的存在になっただけでなく、大勢のオマーン人は、ツイッターを通してもカタール代表の優勝を祝福し、選手たちを歓迎した。

シャイバ・ハルファーンさんは、次のようにツイートした。

「今日の夜明けに、ソハール市にやってくるアジアチャンピオンのカタール代表をおびただしい数のサポーターが出迎えるぞ。オマーンのサポーターはサッカー通だから、夜中だろうと気にしない。このすばらしい歓迎ぶりは、マスカットにサウジのクラブチームのサポーターを出迎えたときのことを僕らに思い出させてくれる(*なんのことか不明)。オマーンの人びと、僕らの心の中はいつも湾岸諸国の人々への愛でいっぱいなんだ」

ハッザーウ・ラシーディーさんは、こうツイートしている。

「カタール国旗とともにオマーン国旗もみんなで掲げた。僕らはカタール代表の選手たちとオマーンのサポーターがともに歓喜したことを決して忘れない。オマーン人の喜びはものすごいんだ」

一方、ムハンマド・ガンブースィーさんはツイッターで、大会得点王となったカタールのアルモエズ・アリー選手がオマーン国旗を掲げたことについてふれている。

「アジア最高の選手が自分の国以外の国旗を掲げて優勝を喜んでいる姿を見て、カタールの選手にとってオマーンのサポーターは、かけがえのない存在だったってことがわかったよ」

アリー・バルーシーさんは、詩をツイートした。

「おお、カタールの人びとよ。この夜のことを決して忘れない。あなたとともに喜びの中で過ごしたこの夜のことを。ぼくの心に刻まれたあなたの力はとてつもないもの。それは夜毎に大きさを増していく」

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