消息不明の元スター選手は生きているのか

シリアの反政府系紙クッルナー・シュラカーが2017年10月1日に掲載したتلغراف: قصة صعود المنتخب السوري الذي اقترب من التأهل لكأس العالم لأول مرة في تاريخهの2回目です。

10月5日(2017年)に行われた、ワールドカップ予選アジアプレーオフ、シリア対オーストラリア戦は、1対1の引き分けに終わりました。シリアもスーマ選手を中心に何度か決定的なチャンスを作り出していましたが、客観的に見て、引き分けはシリアにとって幸運な結果だったと思います。

とはいえ、シリアに勝ち目がまったくないほど、実力差があるわけではないので、10月10日にシドニーで行われる第2戦での奇跡を祈ることにしましょう。

今回紹介する記事の中に、当局による、スポーツ選手らの逮捕、拘束に関するエピソードが出てきます。じつにこわい話です。この手の記事については、シリア国外に逃れたジャーナリストが、国内の刑務所内部のことをどれだけ正確に知ることができるのかという疑問がわくのは仕方のないところでしょう。

ただし、アサド政権は、戦争が始まるずっと前から、親子2代にわたる独裁政権で、国民に対する人権侵害をくりかえしてきたと言われています。ですので、戦時下の今、輪をかけてむちゃくちゃしている可能性は、十分あり得ることだとは思います。

それにしても、スーマ選手やハティーブ選手のように、反体制支持を明確にしていても、逮捕されることもなく、赦免され、代表チームにあたたかく迎えられるケースがある一方、突然拉致され、そのまま行方不明になってしまうスポーツ選手、サッカー選手がいるというのも、つらい話ですね。

今回の記事は、今のわたしの実力では読解不能な箇所も多く、日本語訳の正確性にはいささか不安があります。ま、学習途上ということでどうかご勘弁ください。

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元記事URL http://www.all4syria.info/Archive/445824

シリア代表 躍進の物語(2)

掲載紙:クッルナー・シュラカー/デイリー・テレグラフ/アラビア語訳:ハフポスト・アラビア語版
掲載日:2017年10月1日

(文中の*、見出しは訳者による)

TEHRAN, IRAN – SEPTEMBER 05: Syria players celebrate during FIFA 2018 World Cup Qualifier match between Iran v Syria on September 5, 2017 in Tehran, Iran. (Photo by Amin Mohammad Jamali/Getty Images)

「国旗は自国民を殺害する体制の象徴」

ダマスカス出身で、現在はベイルート在住のヤーミヌ(28歳)は、テレグラフ紙の取材に対し、「ぼくらはみんな、代表の選手たちがそれぞれさまざまな宗教や政治的立場を持っていることを知っています。でもぼくにとって、祖国の代表は、学校、もしくは文化センターのような存在です」と話し、こう付け加える。

「それなのに、政府のほうは常に代表チームをコントロールしようとしています。代表チームは政府の代表であるかのように考えているのです。だから、国民の中には、政府が望むことからはずれることをしないチームをフォローしているのかと感じている人たちもいます。でもこの考えは正しくないと思いますね。このチームは全シリアを代表する祖国のチームなんです」

反体制派を支持しているサポーターの一人に尋ねてみた。両者(*政府と代表チームか)の間に両立しない課題がある場合、どうなるか、と。

シリアの南部ダルアー市の出身で、現在トルコで生活しているアフマド・アリーは、「代表はアサドのチームだよ。このことを忘れてはならない。だから、ぼくはスポーツを見るのが好きだけど、心からシリアを応援することはできないね。シリアの国旗は、毒ガスを使い、兵糧攻めや国民に対して樽爆弾を投下するような殺人者の体制の象徴になっているんだから」と話している。

前代表監督の忠誠心

誰もが代表チームの忠誠心というものに疑問を抱いている。シリア代表の前監督ファジル・イブラーヒームは、2015年シンガポールで行われたワールドカップ予選のある試合前日の記者会見に、アサドの写真がプリントされたシャツを着てのぞんだ。

これについてイブラーヒームは、こう言ったと報じられている。「われわれの大統領はいつもわれわれのことを見てくれています。本当に大統領はわれわれのことを支援してくれています。われわれは国のため、そしてまた大統領のためにプレーしています」

政権は、イブラーヒームが見せたのと同様の忠誠心を示せと選手たちに求めている。

元スター選手が手にしたもの

アレッポ出身のスポーツジャーナリストで、現在はシリアでの人権侵害状況を監視するためにトルコに移住しているアナス・アンムによると、シリアでは、選択を誤った人たち(*反体制派を支持した人たちという意味か)に悲惨なことが起こっているという。

アンムは、政権による広範な分野のスポーツ選手たちに対する投獄と殺人を告発する報告書を刊行した。

報告書は、(*各競技団体の)1部リーグおよび2部リーグのチームに所属する選手の死亡事例のうち、体制側が直接関与したと特定できるケースが少なくとも39例ある、と主張している。また、劣悪な環境のシリア国内の刑務所には、現在13人の選手が拘留されており、そのうちの3人が過去シリア代表にも選ばれたことのある選手だ、とテレグラフ紙の記事は伝えている。

拘留されている13人の中には、ホムス市のプロチームでプレーしていた元スター選手、ジハード・カッサーブも含まれている。ホムスは「革命の発祥地」として知られるようになった町である。カッサーブは2014年8月、逮捕されたが、容疑は明らかにされなかった。また、それ以来カッサーブについて見たものも聞いたものもいない。

今年(*2017年)はじめ、シリアサッカーの特集を放送したアメリカ「ESPN」の取材で、カッサーブの友人は、こう語っている。

「もしカッサーブがまだこの国で生きていたら、彼はスポーツ界への多大な貢献によって、敬意を表されたり表彰されたりしているでしょう。だが、シリアでは、アサドのもとでは、カッサーブが手にできたものは、監禁と拷問だけでした」

Fighters from Free Syrian Army (National Brigade) demonstrate their skills during a military display as part of a graduation ceremony in the Syrian city of al-Bab, Syria September 27, 2017. REUTERS/Khalil Ashawi

消えた父親

現在の代表チームのDF陣の一人アラー・シュブリーの父親は、革命の大義への共感を表明した後、行方がわからなくなった。

「シリア対イラン戦の後、アラーはこう言っています。『バッシャール・アサドのおかげです』とね」アンムはそう話し、続けた。

「6年前にアラーの父親を投獄した独裁者は彼なんですよ。この青年はいまだ自分の父親が生きているのか、死んでいるのかも知ることができないでいるんです。アラーがテレビの取材でなぜあんなことを言えたのか、本当のところ、わたしには理解できません」

スーマ復帰に落胆

反体制派の中には、苦々しく感じている人たちがいる。

シリア東部の都市デリゾールは、現在(*2017年9月末)イスラム国(ダーイシュ)の支配下にある。この町出身のスーマの古い友人たちが、テレグラフ紙の取材に話したところによると、彼らはスーマが「独裁者のチーム」のもとでプレーするために復帰したことにがっかりさせられているという。

友人たちは、スーマはおそらく、革命を放棄する代わりに大金を受け取ったのではないかと推測している。現在ドイツで生活している友人の一人は匿名を条件に、「スーマの復帰は、体制側にとって格好の宣伝材料になった」と話し、こう続けた。

「すべて問題ありません、われわれは状況をコントロールしていますと、世界に向けてアピールするツールの一つに、サッカーが使われているんだ」

また、別の友人は、スーマが代表に復帰した理由として最も可能性が高いのは、おそらく彼が、政治の風向きの変化を悟ったからだろうと、話している。

スーマやハティーブが代表チームからの離反を宣言した当時、多くの人たちが、アサド政権の崩壊を予想していた頃だった。

「サッカーが運命を変える」

イラン戦の数日後、シリアの国会議員をつとめる、ファーリス・シャハービーは、ベイルートのあるカフェで、テレグラフの取材を受けた。

「(*イラン戦のあった日は)シリアにとってすばらしい日になったね。われわれは(*この試合を通じて)われわれ自身の姿を世界に向かって示しただけでなく、われわれは国内のテロリストたちを敗走させたんです(*このくだりさっぱりわからないアラビア語でした。かなり想像をもとに日本語化しています。イラン戦がキックオフされる直前、シリア軍は、イスラム国によるデリゾール市包囲の解除に成功しているので、そのことを言っているのだとは思いますが)」

そして続けて、「ワールドカップに出場できてもできなくても、そのことは重要ではありません。重要なのはこの段階まで到達できたということですよ。戦争から6年間で、これは大きな成果ですから」と話した。

また、シャハービーは、その瞬間が訪れるとき、この国の運命に変化がもたらされるだろうと確信している。すなわち、シリア軍が軍事的に勝利すると同時に、サッカーのシリア代表が、この国に理想的な魂を取り戻すのである。

アサド政権を支持しているベイルート在住の詩人のラーミー・ユーセフは、「わたしの意見では、シリアが一つになる希望はあります。祖国の代表チームを応援することは、ともに団結するための手段の一つだと思うのです。われわれがこの国に対する愛情を分かち合っていることは間違いないことなんですから」と話す。

そして、「わたしにはつねに、シリアに戻る希望がありました。100%それを確信しています。しかし、今は180%の確信を持っていますよ。代表チームを見ているとそう思えるのです」と続けた。

歓喜を再び

代表チームの戦力はどんどんアップしてきている。スーマによると、過去15年で最高のレベルに達しているという。

とはいえ、最近のワールドカップに3大会連続で出場しているオーストラリアとのプレーオフは、シリアにとって大きなチャレンジとなるだろう。

代表のMFターミル・ハージ・ムハンマドは、お互いの政治的立場はどうであろうと、各自が全力を尽くせば、シリア国民に喜びに満ちた90分をもたらすことだできるはずだと話し、こう付け加えた。

「ぼくはワールドカップに出場できると信じています。そうなればもう一度幸福を生み出すことになるでしょう。結局、ぼくらはみんなシリア国民なんです」(この記事終わり)

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